プーチンが習近平に激怒。二次的制裁を恐れ対ロシア輸出を絞る中国の狡猾

shutterstock_1038561883
 

プーチン大統領のウクライナ侵攻により、欧州の平和が破られてから半年。これまでたびたび停戦の取り組みがなされてきましたが、いずれも実を結ぶことなく現在に至っています。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、この戦争の現状と、和解を巡りウクライナとロシアとの間に大きな温度差がある理由を解説。さらに、プーチン大統領が習近平中国国家主席に対して激怒しているという情報を紹介しています。

ウクライナ戦争の現状と大局

ロシアがウクライナに侵攻して、もうすぐ半年になります。現状はどうなっているのでしょうか。

まず戦局を見てみましょう。

約半年が経過し、現状ロシア軍は、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を支配しています。ただ、ドネツク州、ザポリージャ州は、州全域を支配できているわけではありません。

ウクライナ軍は現在、クリミアのすぐ北にあるヘルソン州を奪還しようとしています。そして、最近クリミアで、爆発が相次いでいます。これは、クリミア→ヘルソンの補給をたつためのウクライナ軍の攻撃と見られています。

プーチンは当初、FSB第5局からの情報を基に、「3日で首都キーウを落とせる」と考えていたそうです。しかし、現実は、かなり厳しいことがわかってきました。

停戦へのウクライナとロシアの立場 ←h3タイトル

停戦について、ウクライナとロシアは、現状どのような立場なのでしょうか?

ロシア側は、積極的に停戦交渉したいと考えています。ただ条件は、「ロシア軍が占領した土地は、ロシアのもの」。つまり、ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンは、ルガンスク、ドネツクのように独立するか、あるいは、ロシア領になる。

なぜ、こういう話になるのでしょうか?

ロシア国民は、ウクライナ侵攻前から、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国は、「ロシアの属国」であることを理解していました。ですから、「ルガンスク、ドネツクの独立を勝ち取った」だけでは、数万人のロシア兵が死んだ意味がわかりません。だから、ザポリージャ、ヘルソンも必要なのです。

ただ、ロシアがザポリージャ、ヘルソンを編入すると、世界中のロシア擁護派が困ることになります。なぜでしょうか?ロシア擁護派は、「プーチンがウクライナに侵攻した理由は、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民をジェノサイドから守りたいだけだ。プーチンに領土的野心はない!」などと主張していたからです。彼らは、ロシアがザポリージャ、ヘルソンを併合したら、今度はどうやってプーチンを擁護するのでしょうか?

一方、ウクライナは、停戦交渉を拒否しています。なぜでしょうか?

ゼレンスキーは、大統領として、

  • クリミアはロシア領
  • ルガンスク、ドネツクは、独立国
  • ザポリージャ、ヘルソンはロシア領

といったロシア側の条件を受け入れることは、決してできません。いえ、もしロシア軍が各地で圧勝していて、ウクライナ軍は手も足もでずボロボロであれば、受け入れるかもしれません。しかし、ウクライナ軍は、欧米からの軍事支援で、ロシア軍と互角に戦っている。「勝ち目がある。クリミアも取り戻すことができる!」と多くのウクライナ人が考えているので、停戦交渉の必要性を感じないのです。

ウクライナもロシアも、「勝ち目がある」と考えている。それで、ウクライナ戦争は長期化しています。

print
いま読まれてます

  • プーチンが習近平に激怒。二次的制裁を恐れ対ロシア輸出を絞る中国の狡猾
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け