数匹だけ獲れば現地漁師の年収超え。メキシコ「海のコカイン」の正体

 

元々はスズキ目ニベ科のトトアバ(Totoaba)という魚から取っていたのですが、これが香港や中国で乱獲され、1990年代初頭に絶滅危惧種になってしまい、獲ることが違法になりました。しかし、まだ、メキシコの方にいるということで、そこでは「海のコカイン」と呼ばれ、中国系マフィアやメキシコの犯罪シンジケートに密猟されていて、アジアに密輸されているそうです。これがめちゃくちゃ高く売れるので、数匹獲るだけで、現地の漁師の年収を超えるらしいです。

Totoaba(Wikipedia)
野生動植物の違法取引
「海のコカイン」、絶滅危惧種の高級魚密輸で中国人逮捕 メキシコ

ここからがすごいのですが、トトアバという希少な魚はカリフォルニア湾にいるコガシラネズミイルカ(Vaquita)という珍しいイルカと大きさが同じぐらいで、密猟でこいつもいっしょに網にかかってしまうため、このイルカが絶滅しそうになっているのです。そこで環境保護団体とメキシコ政府が立ち上がって、メキシコ海軍まで出てきて密猟する犯罪組織と本当に銃撃戦とかやっているわけです。凄まじいですね。魚の浮き袋をめぐって、人間が銃撃戦までしているとはまったく知りませんでした。

Vaquita(Wikipedia)
コガシラネズミイルカ、絶滅寸前
シー・オブ・シャドウズ – 予告編 | ナショジオ(YouTube)

本物の高級の魚肚は、この密猟されたトトアバから作られて、ブラックマーケットで超高額で流通しているのでしょうが、香港では干した魚の浮き袋はどこでも売っている食材で、これらは同じくニベ科の他のたくさんいる魚や日本で言うイシモチやスズキやチョウザメなんかから作られているそうです。

また、魚肚が食べたくなってきました。もちろん、トトアバの浮き袋じゃないやつでいいです。

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