日本の三大勢力
現在の日本には、ざっくり「三つの勢力」があります。すなわち、
・親欧米派
・親中国
・親ロシア
普通、「親中国ロシア」となりそうですが、日本ではそうなっていません。親ロシアの人が反中国であることもある。あるいは、親中国の人が反ロシアであることもあります。
親ロシア派の問題点
いわゆる「親ロシア派」の人は、「世界ではグローバリズム対ナショナリズムの戦いが起こっている」などと主張します。そして彼らは、概して「グローバリスト=悪」で「ナショナリスト=善」と見ています。
彼らは、ウクライナ戦争で、欧米とウクライナを批判し、プーチンを擁護します。なぜでしょうか?彼らから見ると「プーチンは、グローバリストと戦うナショナリストの英雄」なのです。この見方はどうなのでしょうか?
私も「グローバリスト=善」とはいいません。しかし、「プーチンは、グローバリストと戦うナショナリストだから常に善」だというロジックはどうなのでしょうか?
善悪の基準は、「相対的だ」と思われがちです。たとえば、あなたに奥さんが4人いたら、日本では明らかに「悪のろくでなし」でしょう。しかし、イスラム国家ではしばしば「普通の事」です。
ですが、国際社会には、はっきりとした「善悪の基準」があります。「国際法」です。国際法によると、正当な戦争は二種類しかありません。
一つは自衛戦争です。たとえば2001年に起こったアフガン戦争。これは、「アルカイダが最初にアメリカを攻撃したので自衛戦争だ」とみなされました。ウクライナは、ロシアを先制攻撃していません。だから、ロシアの戦争は、自衛戦争ではありません。
もう一つは、国連安保理が承認した戦争です。たとえば、1991年の対イラク・湾岸戦争があります。ロシアのウクライナ侵攻は、国連安保理から承認されていません。プーチンは、この戦争について、いろいろ説明しています。
- ウクライナのNATO加盟を阻止するため
- ルガンスク、ドネツクのロシア系住民を守るため
- ウクライナの「非ナチス化」「非軍事化」
- ロシアが攻めなければ、ウクライナが攻めてきただろう
いろいろいっていますが、【国際法の観点】からいうと、善悪は、はっきりしています。ロシアによるウクライナ侵攻は、【完全な国際法違反】です。【完全な国際法違反であること】については、いっさい議論の余地はありません。
賢い人は、たずねるでしょう。
「アメリカのイラク戦争はどうなのだ?あれは自衛戦争ではないし、国連安保理の承認も得ていなかった」
おっしゃるとおりです。だから私は、イラク戦争は「国際法違反だ」と当時書いていました。その後の本でも何度も何度も同じことを書いています。
プーチンも当時、「イラク戦争は国際法違反だ!」と批判していました。これは正当な批判でした。ところが今度は、自分自身がアメリカと同じ過ちを繰り返したのです。だから日本は、「国際法違反」をしているロシアの側につくべきではありません。