コロナ禍の運動不足解消や、人混みを避ける目的で起きた空前の「サイクリング」ブーム。少し遠くへ行きたいと思った時のための「自転車を丸ごと運べる電車」が登場し、いま話題を集めています。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では著者の理央さんが、このサイクルトレインについてビジネス的に分析しています。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
有休設備を稼働させるサイクルトレイン~事業再構築の決め手は定義から
サイクルトレインが流行っています。
サイクルトレインとは、自転車をそのまま電車に持ち込めるサービスのことです。
日経新聞によると、京阪電気鉄道が6月に走らせたサイクルトレインでは、チケットを発売開始してから、1週間もたたないうちに完売したそうです。
利用者は、40~60代の男性が多いようで、記事には写真が載っているのですが、本格的なサイクリングのヘルメットや、ウエアを着て、自転車もまた本格的な、スポーツサイクルを持ち込む様子でした。
電車は普通の車両に、自転車を分解などせずに、そのまま持ち込むことができるのが便利なのだそうです。
大阪から京都まで走る電車だったので、利用者は「途中の駅で降りて、京都の嵐山までサイクリングする」とのこと。全部の道のりはきついけれど、これなら楽そうですよね。
運賃は1人1,000円と通常(440円)の2倍以上だそうですが、完売したのも納得です。
このサイクルトレインは、全国各地に広がっていて、ポータルサイトまであります。私の出身の愛知県でも、豊橋鉄道渥美線がやっています。平日は、10:00発~14:59発までの全列車土日祝は、一部お祭りの日は除外ですが、終日全電車持ち込めるようです。
コロナ禍で人の多いところにいくことができず、運動不足にもなりがちな中、自転車で楽しもうという人も増えたようで、自転車の販売の市場も、ここ数年右肩上がりで伸びています。
そこに目をつけての新しい取り組みですよね。
鉄道会社としても、コロナで利用者が減っている中で、空いている電車の空間を、人間を運ぶのではなく自転車を運ぶことで、売り上げの機会損失を埋めることができます。
コロナで人の動きが減り、鉄道も一時期かなり大変でしたが、とても面白い取り組みだと思います。
サイクルトレインは、鉄道を「人を運ぶもの」と決めつけず、「便利な移動手段」と考えて、サービスの発想の幅を広げました。
使っていない施設や土地をどう使うかと考える時には、このように「鉄道は人を運ぶものだ」という固定観念から離れてみて、ユーザーの便益は何か、競合がやっていないことは何か、という具合に多方面から考えをめぐらせていくといいでしょう。
私も実はドコモのバイクシェアにハマっていて、これから秋にかけて、過ごしやすい季節の中で、ますます、自転車で走る爽快さを改めて感じています。
このニュースを見て私も自転車を買って、電車の旅に行きたくなりました。
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