なぜバイデンは株価を故意に暴落させるのか?「景気後退は早いほど良い」2大理由

Warsaw,,Poland,-,18,March,2014:,Visit,Of,The,Vice-president
 

世界の株式や商品相場が急落しています。アメリカではS&P500が約2年ぶりとなる安値を更新、NYダウも年初来安値をつけるなどリスク回避の動きが鮮明に。28日の日経平均株価終値は前日比397円89銭安の2万6173円98銭となり、取引時間中には一時、節目の2万6000円を割り込む場面も見られました。
メルマガ『マンさんの経済あらかると』の著者でエコノミストの斎藤満氏は、今回の株価急落の原因として、「2期目を目指すバイデン大統領の選挙戦略」を指摘。バイデンはなぜ今、意図的な株価暴落を起こす必要があるのかについて、当面の見通しとあわせて解説しています。

逃げるが勝ち? 下げ相場はこれからが本番

米国株式市場が高値から概ね2割下げ、ベアマーケット入りし、連休明けの東京市場も大きく下げるなど、市場が一段と不安定になりました。

本日28日は3月決算企業の権利確定最終日です。今後の株式市場環境を考えて、「押し目」を拾うのか、傷が大きくならないうちに逃げるか、いずれにしても、投資戦略を練るには重要な時期になりました。

岸田総理はニューヨーク証券取引所で講演し、日本市場への投資を呼びかけました。政府が「新しい資本主義」実現のために、期限のあるNISA(少額投資非課税制度)の恒久化、拡充の可能性を示し、誘いました。

しかし円安もあって、ドルペースの日本株が長期低落傾向にある中で、海外の投資家を日本に呼び込むには、とても力不足です。むしろ、米欧の異例の金融引き締めのなかで、日本の株式市場にも嵐が吹いています。

特に市場が期待する「パウエル・プット」(※後述)が裏切られたように、市場の思惑とFRBとの間に、金融政策に対する大きな認識ギャップがあります。中でも、バイデン政権の意向を受けたインフレ抑止姿勢の強さを、市場は思い知らされました。単にインフレに対する意識だけではありません。その政治的背景を理解する必要があります。

【関連】安倍家と麻生家の家系図を辿ってわかった歴代総理の異常な親戚関係

「ソフトランディングでは間に合わぬ」バイデンの皮算用

金融市場には長年培われた認識が根強くありました。それは「グリーンスパン・プット」、「バーナンキ・プット」と呼ばれるもので、金融市場がピンチの際には、FRBが何とか助けてくれる、という信頼感ともいえます。

この裏には、FRBが民間株式会社で、大株主が欧米の国際金融資本という事情があります。FRBが市場に不利になるようなことはしない、と信じています。

ところが今回はFRBが「市場への配慮」より「インフレ抑制」への強い姿勢を見せたことで、市場には大きな動揺が起きています。この動揺はしばらく収まりそうもありません。

その原因の1つが、バイデン政権の再選戦略にあります。2期目を目指すバイデン政権にとっては、インフレも問題ですが、同時にインフレ抑止のための引き締めが、次の選挙戦に逆風になるのを恐れています。

具体的には、金融引き締めで景気後退になるなら、なるべく早く突入し、早く脱して24年の大統領選挙の時は、現職に有利な金融緩和、景気好調の環境にしたいはずです。

今ソフトランディングを意識して緩やかな引き締めにした場合、その効果出現に時間がかかり、インフレの長期化、次期大統領選時の経済悪化を招きかねません。

FRBは経済を犠牲にしてでもインフレ抑制が優先されると言います。バイデン政権の支持率低下にインフレが大きくかかわっているだけでなく、24年の大統領選を考えた経済誘導を考えて、急激な引き締めで早めの「あく抜け」を図りたいはずで、FRBもこれに協力している面があります。

これが市場の予想を上回る大幅利上げの背景にあり、市場の負担になります。

【関連】サラリーマン大家は本当にトク?元国税調査官が教えるカラクリと落とし穴

株価暴落は、対中国・ロシア戦略の「切り札」

もう1つの政治的狙いとして、敵対する中国、ロシアへの経済戦略カードとして金融引き締めを利用している面があります。

引き締めは米国にも負担ですが、それ以上にロシア、中国への打撃が大きければ、武器としての経済戦略カードになります。CFR(外交問題評議会)系のバイデン大統領は、軍事力で直接ロシア、中国を叩くことは避けようとしています。

その分、経済戦略を介して、ロシア、中国の経済力を落とし、軍事力に資源を回す余裕をなくそうとしています。

print
いま読まれてます

  • なぜバイデンは株価を故意に暴落させるのか?「景気後退は早いほど良い」2大理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け