なぜバイデンは株価を故意に暴落させるのか?「景気後退は早いほど良い」2大理由

 

孤立する黒田日銀。日本への影響は?

市場の利益よりもバイデン政権の利益を重視して動くFRBの行動は、市場には理解しがたい面があり、債券、株ともに「失望売り」が生じやすくなっています。

その中で特異な存在となっているのが黒田日銀です。日銀の大規模緩和はFRB、ECBの引き締めを緩和する効果があり、中でも中国、ロシアも含めた新興国にとって救済となります。

黒田日銀総裁の背後には民間の非公式団体「G30」の存在があり、国際金融資本と深くつながっています。米国がこの金融資本主導で動いていた時は問題なかったのですが、現在のバイデン政権はネオコンや国際金融資本とは一線を画すCFR系の勢力が力を持っています。

このため、「従来の米国」を想定して動いていた安倍派、清和会がバイデン政権に排除され、日銀も冷ややかに見られています。「G30」の支援に支えられる黒田総裁と、CFRのバイデン政権の溝は深まっているように見えます。

G30グループがCFRに抑えられるようになると、黒田総裁の立場も苦しくなります。今回の為替介入を機に、米国の長期金利が大きく上昇しただけに、米国財務省と黒田総裁の関係が悪化しなければ良いのですが。

日本の株式市場は日銀の緩和に支えられている面がありますが、米国当局の強い引き締め意向と黒田日銀の立場の不安定さを考えれば、株式市場の環境は決して良くありません。

米国が来年景気後退に陥るリスクか高まっているだけに、米国株式市場の底入れはまだ先となり、日本にもその間は冷却効果が及ぶと予想されます。しばらくは「逃げるが勝ち」かもしれません。

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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