9月23日に発売された「Apple Watch Ultra」は、これまでのApple Watchとは一線を画すものとして、アップルが大好きなユーザーたちをワクワクさせているようです。お弁当箱のようなパッケージを開けてすぐターゲットの違いを予感したのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、「Apple Watch Ultra」への期待感を筆致も軽やかに伝えています。
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Apple Watch Ultraで狙う新たな顧客層──「都会派アウトドアウォッチ」というジャンル確立へ
購入したApple Watch Ultraが発売日の9月23日に我が家に届いた。Apple Watchはこれまで細長いケースに入っていたが、Apple Watch Ultraでは弁当のような箱に入っていた。
箱を開けてまず驚いたのが、キチンとした冊子が入っており、どのボタンにどういった機能が振り分けられているか、この表示はどうった機能なのかがキチンと説明されていたのだった。
iPhoneやiPad、さらにこれまでのApple Watchにはそうした紙はほとんど入っておらず「アップル製品は直感的に使えるから、説明書なんて不要でしょ」というスタンスがビシビシ感じられたが、Apple Watch Ultraは懇切丁寧に説明が記載されているのが、意外すぎて驚いた。一体、どんな心変わりがあったというのか。
Apple Watch Ultraはこれまでとは違った層をターゲットにしているのだろう。Apple Watch Ultraの本体自体は質感も高く、とにかく「格好いい」。タッチアンドトライ会場でも「即買い」を決めていたが、その判断に間違いはなかった。
一方で、やっかいなのがベルトだ。「アルパインループ」というベルトについている穴に金具をひっかけることで外れないようにする機構が採用されているのだが、これが装着する際に結構、面倒くさい。激しい運動などでも外れない工夫なのだが、普段使いには過剰すぎるので、これまで使っていた45mmのレザーリンクに戻してしまった。Apple Watch Ultraは49mmであるが、特に問題なく使えている。
今回のApple Watch Ultra、SNSを見ていると結構、知り合いが購入している。もちろん、普段から登山をしたりダイビングしている感じの人たちではない。どちらかというと、アップルが新製品を出したら必ず購入する、という人たちだ。ただ、ここ数年、Apple Watchは見た目にはあまり進化をしてこなかったので、今回のApple Watch Ultraは大幅アップデートという感じで、すぐに購入したくなったというのはよくわかる。
また、クルマが典型的だが、高級なジープとかSUVなどはアウトドアを走破するために購入する人よりも、六本木など街中を走るためのモノだったりする。結局、Apple Watch Ultraも見た目はアウトドアを気取っているが、メインで使われるのは街中なのではないだろうか。
Apple Watchは「普通の時計」の代わりとしての存在感を求められてきたため、サイズ感やデザインにおいて、すでに「完成の域」に到達したような気がしている。しかし、Apple Watch Ultraは「アウトドア向け」であるため、サイズやデザインの制約をあまり受けない。
今後の進化の余地を考えるとApple Watch Ultraには様々な可能性があるし、Apple Watch Ultraをベースにして、さらに高機能化も期待できる。Apple Watchはスタート時、18金などを採用して大失敗したが、アップルはここにきてようやく高機能・高級路線の時計という金脈を掘り当てることができたのではないだろうか。
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