京大教授が激怒。財政を破壊するNGワード「バラマキ批判」が百害あって一利なしの訳

 

我々は、政府支出についてバラマキかどうかで批判するのではなく、

  1. 政府が達成すべき目標を定める事を求め(例えば、実質賃金の上昇率目標や貧困層を何%以下目標(理想的にはゼロ%)、そして、名目成長率3%、実質成長率4%など)
  2. その目標に向けた“マクロな支出額”と“ミクロな支出項目”の双方についての合理的な戦略の検討と推進する事を政府に求め(これこそ、ワイズスペンディングを求める態度です)、
  3. その1)で立てた目標が達成されているかどうかの確認を政府に求める、

という態度が必要なのです。

こういう理性的な政府監視と政府批判を続けていれば、国民の実質賃金が上がり(そのためには、物価下落と名目賃金の上昇が必要であるが、その双方が進められる事になるのです)、それと同時に、貧困層が最小化/撲滅され、そして、国家全体の経済規模も実際的に拡大していくことになるのです。

こうした合理的な財政において、バラマキ批判は百害あって一利無し、なのです。

なぜなら、バラマキ批判ばかり繰り返していれば、1)の目標が見失われてしまうからであり、2)のマクロな支出額の達成が不可能となるからです。

さらに言うなら、2)におけるミクロな支出項目の合理性の議論においてすら、バラマキ批判は害悪となり得ます。

第一に、あらゆる支出項目が、それが少々金額が高ければ「それはバラマキじゃないか!」という批判に晒されがちとなるからであり、第二に、あらゆる支出項目が、それがどれだけワイズスペンディングの視点から不合理であっても、それが安ければ、バラマキ批判されずに“お目こぼし”にあって、支出が許容されてしまう事になるからです(実際、そうやって、構造改革のための会議の運営費や担当官の設置などが、安いから、という理由でお目こぼしにあって、進められてきたのです!)。

つまり結局は、バラマキ批判はあらゆる項目について差し向けられるものである以上、実態は、高い支出項目が阻止され、安い支出項目が許容される、という馬鹿丸出しの財政が展開されるようになってしまっているのです!!!!(これこそ、当方が10年間内閣官房の仕事をしてきたことで深く理解した、非ワイズスペンディングな今の政府の実態です。そうです。完全に、政府は、馬鹿なのです)。

……ということで、バラマキを語る人間は、一見合理的で正しそうに見えても、百害あって一利無しの態度なんだ、ってことを、少なくともこのメルマガ読者だけでもご理解いただきたいと思います。

まぁ、祟りをまるっぽ信じてる村社会で、祟り批判をすれば基地外扱いされますから、バラマキ批判も慎重にやらないと、基地外扱いされて、迫害される事になりますから、当方も慎重にやって参りはいたしますが、ホントのホントに、それは百害あって一利無し、なのです。

(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年10月4日号より一部抜粋・敬称略。この続きはご登録の上、お楽しみください)

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2021年10月配信分
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2021年6月配信分
  • 『朝まで生テレビ』で露呈した政府与党の腐敗 ~国民を救うためにプライマリーバランスと消費税をTVで激論!せよ~(6/26)
  • 西浦・尾身教授&吉川・土居教授問題の本質:日本の「デフレ」も「コロナ禍」も結局は「学術界の腐敗」の必然的帰結である(6/19)
  • 日本が『地獄』に落ちる根本原因 ~コロナ禍が露わにした日本に「政治」が無くなったという真実~(6/12)
  • 「私、ワクチン打った方が良いんでしょうか?」という質問を受けました。当方が「即答」したその内容と理由を詳述します。(6/5)

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2021年5月配信分
  • 「コロナ脳」の正体 ~公的コロナ被害でなく「自分がコロナに罹るリスク」の最小化だけを目指す浅ましき「お為ごかし」精神~(5/29)
  • 『「緊急事態宣言の延長」反対論者は、高齢者を「殺」そうとする大罪人である』~日本を滅ぼす恐るべきコロナ脳の論理~(5/22)
  • 20万円給付金やコロナ対策、消費税凍結等が如何にして「財務省の役人達」に潰されているのか?(5/15)
  • 「緊急事態宣言・延長」が如何に不条理なのかを、解説します。(5/8)
  • 小池・吉村らの“コロナ禁酒”を甘く見てはいけない。さもなければ日本は地獄に落ちる。(5/1)

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2021年4月配信分
  • 本当の「緊急事態」はコロナではない。中国による「尖閣有事」「台湾有事」こそ真の緊急事態である。(4/24)
  • 「コロナ自粛の根本問題」を解説します ~歴史を動かす「バタフライ・エフェクト」の蝶を全て虫籠に収める愚~(4/17)
  • コロナ禍のメカニズム:日本は「ガマンすると良いことあるぞ」スキーマで自滅しつつあります。(4/10)
  • 「日本のコロナ対策」は絶望的に滅茶苦茶…その中で何ができるのか、絶望せずに動きながら考え続けたいと思います。(4/3)

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2021年3月配信分
  • 【小池=クロちゃん説】小池知事のコロナ対策は単なるポーズ。クロちゃんが口説く女性にだけ優しいのと全く同じ(3/27)
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  • 東日本大震災から10年、「国土強靱化」は何故進まなかったのか? ~財務省「一強」状態が日本脆弱化の根本原因である~(3/13)
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2021年2月配信分
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  • 【新年特別号】2021年の日本はどうなる?コロナ・不景気・菅政権の3大問題解決に必要なこと(1/1)

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2020年12月配信分
  • 菅内閣はなすべき対策を「過剰自粛」し、日本破壊を加速している。(12/26)
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  • 菅政権による国民窮乏化策 ~コロナ禍で所得補償「せず」に高齢層/子育て層への「実質増税」を断行する我が国政府~(12/12)
  • 都構想やコロナ等、世論に批難されながら発言し続けるために、日々どのように自説を「吟味」し続けているか?について。(12/5)

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藤井聡この著者の記事一覧

京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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