京大教授が激怒。財政を破壊するNGワード「バラマキ批判」が百害あって一利なしの訳

 

しかし、世の中ものは言いよう。ポジティブな規範は人々を活性化しますが、ネガティブな規範は人々を抑圧していきます。教育学ではよく知られた現象ですし、何より、ノーベル賞を取った心理学者・ダニエルカーネマンが明らかにしたことでよく知られるフレーミング効果というものは、論理的には全く同じことでもポジティブに言うかとネガティブに言うかで、大半の人々の判断が「激しく逆」になるという現象です。

ですから、政府支出額に着目すれば、ワイズスペンディング奨励に比べて、バラマキ批判の場合は、圧倒的に縮小されてしまうのです。

だいたい、「バラマキやめろ!」と言われて、「分かりました、じゃぁ、賢く使うために、当初考えてた金額の2倍支出します!」なんて事にはおおよそなりそうにありません。「バラマキやめろ!」と言われれば、おおよそ「じゃぁ、当初考えてた金額には、バラマキ的予算が結構入ってたから、削って削って、おおよそ半分くらいにしますね…」となるにきまってるわけです。心理学的に言って。

……というか、バラマキ、って一体何なのでしょう?

一見、何も考えずにカネを使うことがバラマキだから、ダメなものに見えますが、一体誰がそれがバラマキでそれはバラマキでない、と決められるのでしょうか???

そんなもの、誰も決められないのです。

「困っている人がいて、その人が5万円分困っている」ということが「確定」しているなら、「5万円配るのは正しいが、6万円配ったら、1万円余分だから、その6万配布はバラマキだ」という事もできるでしょう。

しかし、5万円困っているってきっちり測定することなんて絶対出来まないのです。

だから、その人に1万円配っただけでも、「そいつは1万円も困ってはいない。せいぜい5,000円程度しか困ってないんだから、配りすぎだ。それはバラマキじゃないか!!」という人が出てきても不思議ではないじゃないですか。

……つまり、バラマキ批判を一旦許容してしまえば、どんなオカネの給付でも、それは「バラマキだ!」とイチャモンを付けることが可能となってしまうのです!

それは、さながら古代人が、あらゆる病気について「それはご先祖様の祟りじゃぁぁぁ。先祖をもっと敬わなかったからそうなったんじゃぁぁぁ!!」と言うのと同じ話し。

誰も、それが祟りじゃない、ということが証明できないから、全部祟りのせいにできてしまうように、誰もそれがバラマキじゃない、とは証明出来ないから、全部バラマキだと言えてしまう様になるのです。

……だ・か・ら……

(病因で祟りを持ち出しちゃいけないように)財政を語るにあたって、「バラマキ」という言葉を使ってはいけないのです!!

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