州知事、ディズニーへの税制優遇措置の廃止で対抗
またフロリダ州は4月22日、フロリダ州内でテーマパークを運営するディズニーに対し、税制の優遇措置を含む特区の制度を廃止する法案を成立させた。
アメリカメディアは、保守的な性教育についての州法の成立に反発したディズニーへの「報復」であると伝えた。優遇措置は、来年6月1日より廃止される見通し。
特区は1960年代から州法で定められ、税制の優遇措置を受けられるかわりに広大な敷地内の消防や水といった社会インフラを、ディズニーが整備するという、「自治区」のような制度。
優遇措置がなくなれば、テーマパークの収益性や設備の更新に影響する可能性もあるという(*6)。
ディズニーのボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は当初静観していたが、一部従業員や世論の批判を受けて反対を表明。知事がこれに報復するために州議会に特権の剥奪を要請した。
ただ、アメリカメディアは、かつて“蜜月”とされた共和党と大企業との関係悪化の象徴であると指摘(*7)。あるいはCNNテレビは、
「人手不足が深刻化する中、従業員の立場を代弁する方が経営にとっては有益だ」(*8)
とする有識者の見方を示す。
デサンティス知事とは? ミニ・トランプ 2024年大統領選候補者としても注目
フロリダ州の知事デサンティス氏は、11月の中間選挙で再選を狙うとともに、2024年のアメリカ大統領選の共和党候補として、トランプ氏とともに有力視。
トランプ前大統領顔負けの「分断政治」でリベラル派を徹底攻撃、その姿は「ミニ・トランプ」とも称されるほど。
「川の対岸へ、突き飛ばしてしまえ」
8月下旬、デサンティス知事は演説で国立アレルギー感染症研究所長のファウチ氏を罵倒すると大歓声が上がる。
同じころには、日本でも大ヒットした『トップガン』の(TOP GUN)をまねた「TOP GOV」という」タイトルロゴの選挙キャンペーンの動画を公開。「GOV」というのはGovernor(知事)の略で「最高の知事」という意味。
知事は、トム・クルーズと同じようなフライトジャケットを着て動画に登場した。
下院議員を経て、2019年に州知事に就任。差別的との批判もいとわず、常にリベラル寄りの政策を非難、民主党との対決をあおってきた。
中間選挙と同日に実施されるフロリダ州知事選では、対立候補をリード。2024年の大統領選では、民主党のバイデン大統領と争う場合、トランプ氏よりも有力な共和党候補になるとの世論調査結果も出ている。
■引用・参考文献
(*1)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(*2)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(*3)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(*4)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(*5)Justin Kirkland「フロリダ州の『ゲイと言ってはいけない』法案は、子どもたちの命を奪う可能性がある」エスクァイア日本版 2022年3月2日
(*6)花房良祐「フロリダ州、ディズニーの税優遇廃止 LGBTQ巡り対立」日本経済新聞 2022年4月22日
(*7)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(*8)ニューヨーク=共同 西日本新聞 2022年6月9日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年10月15日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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