トランプ復権に繋がるか。在米作家がアメリカ中間選挙を大胆予測

 

この2つの選挙区ですが、非常に似通った構図になっています。

「基礎票が民主、共和で拮抗している」

「共和党はいずれもトランプ派だが、実はインテリで本籍はリベラル」

「民主党はかなりの庶民派で、ヒラリー、オバマ系の匂いは(良い意味で)しない候補」

「両党は、この2州を主戦場と位置づけ、猛烈なネガキャンをTVに投入中」

「OHの共和党候補の夫人はインド系、PAの民主党候補の夫人はブラジル系、PAの共和党候補本人はトルコ系ということで、国際的な家族構成」

という状況です。この2州ですが、私は次のように見ています。

まずOHですが、確かにヴァンスは「本物のトランプ派か怪しい、悩める人物」というイメージがあります。ですが、「それゆえに古典的な共和党票は来る」し、「無党派も抵抗感がない」というメリットが有ると思います。一方で、ライアンは非常にいい選挙戦をしているのですが、共和党の「クラシックな支持層+トランプ派の熱量」のトータルにはやや劣ると見ています。

一方で、PAですが、フェタマンの知名度はかなり浸透しており、著名なTVタレントのオズには負けていません。そして、まるでプロレスラーのような容貌から、実に柔和で庶民的な弁舌を繰り出す独特のキャラは、かなりいい線に行っていると思われます。

反対にオズは知名度は圧倒的ですが、トルコ系ということを隠さない点が、超保守層を引っ張れるか限界がありそうです。またPAの独自の事情として、野球のフィラデルフィア・フィリーズが、全くの予想外ながら、ワールド・シリーズ進出が決定しており、今週末からの野球中継は空前の視聴率となる見込みです。

その野球中継こそ、TVキャンペーンの主戦場となる中で、肝心のフィラデルフィア都市圏は圧倒的に民主党が強い、ということは民主党支持者の投票率が上る可能性があると思われます。そして、そもそも、基礎票としては、OHよりPAの方が民主党が強い州です。

ということで、現時点での予想としては、

  • オハイオ:共和党のヴァンス勝利
  • ペンシルベニア:民主党のフェタマン勝利

となり、そうすると上院は「50対50」となる、そう考えておきたいと思います。ちなみに、ヴァンスが勝ったとしても、彼の場合は「コテコテのトランプ派でない」のは明白なので、接戦州の勝利イコール「トランプ復権」という単純な評価はできないと考えられます。

一方で、同時に行われる知事選ですが、これもカリフォルニア州で、ニューサム知事(民主)が圧勝すると民主党の大統領候補として有力になるというような話題もあるのですが、やはりいちばん大事なのはフロリダとテキサス、それにサプライズの可能性としてはニューヨークだと思います。

まずテキサスは、アボット知事(共和)が再選を狙っています。またフロリダのデサントス知事(共和)も同じです。そして、この両者は、「コロナ禍における感染対策義務化に猛反対」「中絶禁止」「LGBTQ+弾圧」「移民排斥」という4つの問題で共闘しており、支持も相当に固めています。

これに対抗しての、民主党の動きですが、テキサスは、オルーク(元下院議員)、フロリダは同じくクリスト(元共和党のフロリダ知事)という有力候補を立てて挑戦していますが、恐らく届かないでしょう。

特に重要なのは、フロリダのデサントスで、彼は「脱トランプの共和党」における大統領候補としては、「トップランナー」だと言われています。ですから、この知事選に勝って勢いをつけたいわけで、そのシナリオ通りに事態は推移しているようです。

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