トランプ復権に繋がるか。在米作家がアメリカ中間選挙を大胆予測

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11月8日に投開票が行われるアメリカ中間選挙。苦戦が伝えられているバイデン政権ですが、国民はどのような審判を下すのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、選挙を直前に控えたアメリカ国内の状況をレポート。候補者のプロフィールを含めた激戦区の情勢を詳しく伝えるとともに、選挙結果の予測を試みています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年10月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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アメリカ中間選挙の直前情勢

それにしても、中国の中央委員、中央委候補委員、常務委員の人事には驚きました。団派は徹底的に排除されたばかりか、第6世代の男性ばかりが団子のように固まって習近平体制にしがみつく異様な人事になってしまいました。

ということで、先週お話した人事の観測は、香港メディアなどを参考にしたものですが、全くの「ハズレ」になってしまいました。この結果に関しては、後でご紹介するように、長年の読者の方から厳しいご指摘をいただいております。

つまり、「ロシア侵攻」「ウクライナ和平を中国仲介」に続いて「予測3連敗」という事になってしまったわけです。「希望的観測」は有害無益だというのは、全くその通りですし、JMM時代の2016年11月に「ヒラリー辛勝」という「ハズレ」をやったことを考えると、4連敗とも言えます。

そうではあるのですが、時間は刻々と過ぎて行く中で近未来に関する仮説を持ち、それを修正するという態度は、やはり必要です。とりわけ、アメリカの政局はここ20年以上、専門的に見てきたわけですので、その責任から逃れるわけには行きません。

ということで、11月8日に迫ったアメリカの中間選挙の見通しをお話する時期となってしまいました。

さて、今回の選挙戦ですが、大きな見取り図としては次のような枠組みを考えながら見る必要があります。

1)新任大統領が経験する初の中間選挙は、基本的に大統領への信任投票になる。多くの場合、就任2年目の秋というと、「期待を裏切られた感」が顕著になる時期なので、どんな大統領でも与党を勝たせるのは難しいし、今回のバイデンもそれは同じ。

2)これに加えて、30年ぶりという厳しいインフレ、とりわけ原油高から来るガソリン価格の上昇が家計を直撃する中で、経済への不満は非常に深刻。これは結局のところは、現職への大逆風となっている。

3)これに加えて、バイデン大統領の「高齢問題」が、裏のストーリーとして進行中。多くの信頼できる世論調査が、民主党支持者の間でも「バイデンは高齢故に2024年の大統領候補として不適当」という意見が過半数。そんな中で、バイデン再選出馬断念というアナウンスは時間の問題という説も。

4)民主党では、依然として「経済合理性=グローバリスト」対「環境、雇用、格差を問題視する左派」の対立は激しい。バイデンが辛うじて左右をまとめているという構図は2年前と変わらない。但し、共和党が「各州中絶禁止法の合憲化」に成功するなど、価値観戦争を仕掛ける中で、共通敵の存在から団結は強まっているという構図もあり。

5)一方で、アメリカの場合はコロナ禍の「出口」に差し掛かったというムードは顕著。雇用も堅調であり、若者世代には切迫感はそれほどではない。例えば、リーマン・ショック後の2009年から10年の世相に比べれば、遥かに明るい。

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