遅すぎた対応。統一教会への「解散命令」しか取る道がなくなった岸田内閣の絶体絶命

2022.10.27
 

だが、岸田首相や茂木幹事長の「教団とは組織的関係はない」「個別議員の政治活動」だという主張は、完全に誤りだったと言わざるを得ない。

私は、最初から彼らの主張に異議を唱えていた。なぜなら、教団と自民党の関係は「組織的な関係」そのものであり、その責任は党にあるのが明らかだったからだ。

そもそも、自民党の個々の議員は、党や派閥の幹部、地元の主導で旧統一教会と関係を持つことになるからだ。

新人候補者が初めて選挙区に入る時、学校の同級生くらいしか知り合いがいない例も少なくない。世襲の新人候補者でさえ、東京の学校を出た人が多く地元に知り合いはいない。その時、党や派閥の幹部、地元のベテランのスタッフから、支持団体など票を入れてくれる組織や人に挨拶をするように指示される。候補者は、わけがわからないまま、言われるままに、いろいろな組織や人に頭を下げる。こういう支持団体の1つに、旧統一教会がある。そこから、候補者と教団の付き合いが始まるのだ。

もちろん、新人候補者でも、旧統一教会が霊感商法など「反社会的」な活動をしてきたことは、当然知っていたはずだ。だが、知名度もない新人候補に、支持団体との付き合いを拒否することなどできるはずがない。初当選後も、関係を切ることなど簡単にはできない。教団の関連団体のイベントに祝電を送ったり、出席して挨拶したりする。逆に教団関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう、等の付き合いがずっと続くことになる「政治家は選挙に落ちればタダの人」なのだから。

要するに、自民党は旧統一教会を「集票マシーン」として利用していたということだが、それは「党主導」であり、個々の議員に主体性がないということだ。さらにいえば、自民党では各業界団体の票だけでは足りない議員について、旧統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることをしていたという指摘もあるのだ。自民党と旧統一教会の間は「組織的な関係」そのものなのである。

そもそも、旧統一教会と国会議員が関係を絶てば、万事解決するというような単純な問題ではない。旧統一教会と政治・行政の関係は地方にも広がっているからだ。日本の国政選挙は、候補者の下で、首長、都道府県会議員、市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体のスタッフがピラミッド型の組織に選挙運動を展開する。旧統一教会と国会議員が選挙を通じてつながっているならば、地方は選挙の実働部隊としてより深く結びついているのは当然のことだ。

実際に、多くの信者が国会議員の公設秘書、私設秘書として雇用されているという。また地方議員やスタッフとして活動してきたという。選挙の応援をボランティアで行い、「掲示板でのポスター貼り」「街頭演説でのビラ配り」「動員され聴衆として参加」「電話かけ」という選挙スタッフがやりたがらないような仕事も、「信仰のため」と熱心にやるという。要するに、国と地方のさまざまな政治活動に教団と信者が参加しているのだ。

旧統一教会は、自民党の「集票マシーン」となることで、「霊感商法」「合同結婚式」などで失ってしまった「社会的信用」を取り戻そうとしている。政党の有力な支持団体という「お墨付き」を得れば、信者を集めやすくなる。信者を集められれば「献金」「お布施」「寄付」などの資金集めもやりやすくなるということだ。

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