遅すぎた対応。統一教会への「解散命令」しか取る道がなくなった岸田内閣の絶体絶命

2022.10.27
 

旧統一教会の活動は、選挙活動にとどまらず、さまざまに広がっている。例えば、教団は地方自治体だけではなく、全国に約1,800か所の市町村に設置されている。地域福祉の普及推進と、民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行う社会福祉協議会(社協)にも多額の寄付を行ってきた。

また、旧統一教会は、「平和ボランティア隊」を組織し、2011年の東日本大震災、2014年の「広島土砂災害」、2016年の「熊本地震」、2017年の「九州北部豪雨」、2018年の「西日本豪雨災害」、2019年の「台風15号」、など、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣し、復興支援を行ってきた。

さらに、「ピースロード」という旧統一教会の関連団体が共催に名を連ねて、全国各地で実施しているイベントがある。その実行委員会には、地元選出の国会議員や地方議員が参加し、さまざまな都道府県、市町村が後援してきた。

要するに、旧統一教会はさまざまな形で国政や地方政治・行政に深くかかわっている。国会・地方議員、首長、自治体は旧統一教会から票や寄付金、ボランティアを得て、旧統一教会は「社会的信用」を勝ち取るというギブ・アンド・テイクの関係ができあがっているのだ。

現在、メディアは連日、政治・行政と旧統一教会の関係を報道し、厳しく批判している。私も、信教の自由は守られるべきだが、旧統一教会という「反社会的行動」を行ってきたことが明らかな団体から支援を得て、その団体の活動を事実上助けてきた政党・政治家には「道義的責任」がある。関係を断ち切れるならば、それがいいと思う。

だが、これだけ広く深く政治・行政に食い込んだ団体との関係を切ることは現実的に不可能だろう。もちろん、多数の被害者が出ており、その救済は最優先されるべきだ。だが、旧統一教会の教義を純粋に信じて、政治・行政やボランティアの活動に一生懸命取り組み、社会的な信用を得てきた人たちも多数いるのだ。彼らを、旧統一教会の信者だからといって、一律に排除できるのかといえば、無理である。

プライバシーや人権の侵害になるし、宗教弾圧につながる危険がある。なによりも、自由民主主義社会は政治の側が教団との関係を絶とうとしても、信者が勝手にある政治家を応援し、選挙で一票を投じることを止めることはできないのだ。

それでは、どうすれば旧統一教会の「反社会的な行動」を改めさせることができるか。この連載では、岸田首相が主導して旧統一教会の「反社会的な活動」の是正を直接求めることと主張してきた。そして、岸田首相の指示で、旧統一教会の宗教法人格の認可を再審査する。場合によっては「宗教法人」としての認可を取り消すことも辞さない姿勢で旧統一教会に変化を求めることしか現実的な解決はない。

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言い換えれば、旧統一教会に「まともな宗教団体」になってもらうということだ。まともな宗教団体であれば、政治・行政とかかわることやボランティア活動で社会に参加することは問題ない。例えば、創価学会など旧統一教会よりはるかに規模の大きな宗教団体が政治・行政にかかわっている。それは、政教分離という観点からみても、特に問題視されていない。

ちなみに、朝日新聞がスクープしたように、旧統一教会の友好団体が、今年の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが分かっている。選挙で支援する見返りに教団側が掲げる政策への取り組みを求めた「政策協定」ともいえる内容で、文書に署名した議員もいたという。

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