お金のプロが警告。中途半端な知識が大損を招く「年金繰り下げ」受給

2022.10.27
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将来受け取れる年金額が増額するため、メディアでもしきりにおすすめされている繰り下げ受給。しかしそこには大きすぎる落とし穴も存在することをご存知でしょうか。今回、繰り下げ受給を巡る勘違いから550万円もの大金をみすみす受け取り損ねた男性のエピソードを紹介しているのは、ファイナンシャルプランナーで『老後資金は貯めるな!』などの著書でも知られ、NEO企画代表として数々のベストセラーを手掛ける長尾義弘さん。長尾さんはこのような泣くに泣けない事態が起きてしまった理由を解説するとともに、少しでも不明点がある場合には年金事務所の相談窓口へ出向くべきとアドバイスしています。

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

他人事じゃない。中途半端な「年金繰下げ受給」の知識で約550万円も大損した男性の実体験

「年金は、繰下げた方が得になるんですよね。私は、働いていると年金が減らされるので、厚生年金だけを繰下げて、基礎年金を受け取っています」と、数年前に年下の女性と結婚したAさんが、自慢げに話してくれました。

しかし、ここには複数の勘違いがあり、Aさんはなんと「約550万円の損」をすることになってしまいます。

この話は、最近あったビックリ年金相談です。

「繰下げ受給をすると得になる」という記事が多くなっているので、繰下げ受給を検討されるのはとてもいいことなのですが、中途半端な知識、勘違いの知識でことにあたると、とんでもない失敗に繋がってしまいます。

年金制度は複雑なので正しい知識を身につけていただきたいと思っています。

なぜ、この話がそんな大きな金額の損に繋がってしまうのか、解説したいと思います。

聞きかじったお得情報

Aさんは、66歳(男性)の契約社員。妻は14歳年下の52歳です。Aさんは65歳までも契約社員で働いてきたのですが契約満了で退職、その後系列の会社に転職して70歳ぐらいまでは働く予定です。年金は厚生年金だけを繰下げて、基礎年金は受け取っています。

「どうして、そうしたのですか?」とお尋ねすると。

「65歳まで働いていたときは、給料があったから年金が支給停止になっていたんですよ。だから、65歳から厚生年金は繰下げ受給をすることにしたです。そうするとその分は年金が増えるでしょう。でも、生活費がちょっと足りないんで、基礎年金は受け取ることにしたんですよ。これって正解ですよね!」と得意げに説明をしているのです。

それを聞いた私は、「え~~!(@_@;)(◎-◎;)、それって逆ですよ!」と思わず言ってしまいました。

このAさんは、たぶんネットとかニュースなどで聞きかじった「繰下げ受給が得」という情報を得ていたのだと思います。たしかに繰下げ受給がお得というのは、正しいのですが、きちんと理解していなかったのでしょうね。年金制度について複数の勘違いをしています。

どんな勘違いなのかを解説していきましょう。

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