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正確な情報が入らない独裁者

完全独裁者になると、独裁者には都合のいいことばかりに思えます。しかし、そうともいえません。大きな問題が起こってきます。それは、「正確な情報が入ってこなくなること」です。

独裁者の大先輩プーチンの例を見てみましょう。なぜ、プーチンは、大戦略的敗北必至の愚かな戦争を開始したのでしょうか?3月14日付の時事を見てみましょう。

ウクライナ侵攻後、ロシアのプーチン大統領が在籍した旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継機関、連邦保安局(FSB)内部で異変が生じているもようだ。

プーチン氏にウクライナ情勢を報告する立場にあったFSB幹部が自宅軟禁されたとの見方が浮上。事実なら、戦況が思うように進まない「誤算」の責任を取らされた可能性が高い。「侵攻から2週間。プーチン氏は第5局に対する弾圧を始めた」。ロシア独立系メディアは12日、FSBに情報筋を持つ著名記者2人の話を基に伝えた。

独立系メディアは「第5局は侵攻に先立ち、プーチン氏にウクライナの政治状況を報告する任務にあった。第5局はリーダー(プーチン氏)を怒らせることを恐れ、聞き心地のいいことだけを報告したもようだ」と分析している。

「自宅軟禁された」のは、FSB第5局セルゲイ・ビセーダ局長です。彼は、「全ウクライナが、解放者としてのプーチンを待ち望んでいる」などと報告していました。ポイントは、FSBが「プーチンを怒らせることを恐れ、聞き心地のいいことだけを報告した」という部分です。プーチンは、「間違った情報」を基に判断を下した。結果が今の悲惨な状態です。2~3日でキーウを陥落させ、終わるはずだった特別軍事作戦。今や、「核を使うぞ!」と脅迫しなければならないほど追い詰められています。

問題は、なぜFSBがプーチンに間違った情報を流したのか?そう、「プーチンを怒らせることを恐れ」とある。要するに、「プーチンが怖かったから、ウソの情報を流した」のです。今のロシアは、「プーチンが恐ろしすぎて、本当のことをいえない」状況になっています。

これは、一般国民だけでなく、支配者層もそうなのです。ウクライナ侵攻(2月24日)に先立つ2月21日、安全保障会議でプーチンは、「ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の独立承認についてどう思うか?」とメンバーに質問しました。この時、ロシアのエリート中のエリートである安保会議メンバーは、何を考えたのか?

「プーチン皇帝様は、どんなお答えを望んでおられるのだろうか?うっかりKYなことをいったら、自分は破滅だ。なんとしても皇帝様の意向に沿った意見をいわなければ」

こんな感じでしょう。それで、ほとんどの人が、「独立承認を支持します」と
いった。

ところが、一人の正直者がいました。ナルイシキン対外情報庁長官です。彼は、「西側にもう一度だけチャンスをあげましょう。彼らに、ミンスク合意を履行しろとウクライナに圧力をかけるよう要求するのです」といった。

するとプーチンは、「交渉を開始しろというのか?」と質問します。ナルイシキンは、この一言で、震えあがってしまいました。対外情報庁のトップは、しどろもどろになり、「いえ。私は、ルガンスク、ドネツクを併合することを支持します!」と変なことをいってしまった。

プーチンは、宿題を忘れた小学生のようになっているナルイシキンの態度にとても満足で、ニヤリとしながら、「俺たちはそんな話をしているんじゃねえ。ルガンスク、ドネツクの独立承認の話をしてるんだ」。ナルイシキンは、おどおどしながら、「独立承認を支持します!」と言い直しました。

これを見ると、ナルイシキンは、ルガンスク、ドネツクの独立承認に、本音では反対だった。当然、ウクライナ侵攻にも反対だったことでしょう。ところが、プーチンが怖くて、本音を貫けない。貫いたら、命がないかもしれない。これは、大げさではなく、そのままの意味です。

ロシアの現状は、どうなのでしょうか?結局、プーチンが、一人ですべてを決めているといえるでしょう。だから、今の大惨事の責任は、すべてプーチンにあります。

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