中国発の激安ファストファッション「SHEIN」が本国で事業展開しない理由

STUTTGART, GERMANY - Aug 14, 2021: Cellphone with online shop of Chinese e-commerce company Shein on screen in front of business logo  Focus on top-left of phone displaySTUTTGART, GERMANY - Aug 14, 2021: Cellphone with online shop of Chinese e-commerce company Shein on screen in front of business logo Focus on top-left of phone display
 

ユニクロやZARAなど、ファストファッションの人気はいまだ衰える様子がありません。しかし、この業界においても大きな問題が立ちはだかっています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、それを解決したという中国発の激安ファストファッションを紹介。日本にとっては脅威になりかねませんが、このシステムが今後のファストファッションの定番になっていくかもしれないようです。

問屋なし、店舗なしの激安ファッション。中国発『SHEIN』の世界戦略

Tシャツ500~2,000円、パンツ1,000~3,000円、セーター1,500~4,000円、ジャケット1,500~6,000円、ブーツ2,000~7,000円、サンダル1,500~4,000円、ショルダーバッグ500~2,000円、財布200~1,500円。2,000円以上購入すれば、送料無料。

ユニクロやジーユーではなく、中国のネット通販「SHEIN(シーイン)」の激安ファストファッションです。驚きの安さで人気が出て、現在220の国と地域に、1億2,000万人のユーザーがいます。

興味深いのは、本国中国では事業を展開せず、欧米や東南アジアを中心に販売していること。

なぜ、巨大な市場規模である中国で販売していないのでしょうか。

これは推測ですが、質の悪い中国製品の中に紛れ込んでは、その差異を主張することは難しく、ブランド力を高めることができないからではないでしょうか。

また、中国人は富裕層が増えたため、海外のブランドものに目がいって、国産の安いものは売れないと判断したのかもしれません。

世界的な不況を考えると、収入の減っている欧米や東南アジアの人にアピールする方が得策です。

この会社は、広東省にある繊維街の中の工場と契約し、商品を作ってもらっています。

市場の流れでもある多品種少量生産を実現するために、商品ごとに発注する工場を分けてもいます。トラブル時のリスク回避ともなるためです。

各工場で作られた商品は、同じく広東省にある巨大物流センターに集められ、一括管理しています。ここから世界各国に配送しているのです。

各国の配送センターを作るのではなく、生産地から直接、お客さまに届けています。つまり、「D2C」。Direct to Consumerと言われる売り方をしているのです。

なので、もちろん「問屋」もなく、「店舗」もありません。中間流通業者を通さず、製造から販売までを中国国内で一貫して行うことで、人件費や固定費を大幅カットしています。その結果が、“激安”に繋がっているのです。

中国から発送するため、日本に届くには5~10日ほど掛かりますが、価格を考えれば、文句を言う人はいないでしょう。1日2日で届けてもらう必然性もありません。

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