岸田首相は安倍元首相の国葬でつまずいて以来、やることなすこと裏目に出て、政権内のガバナンスが揺らいでいる。とりわけ目立つのは、与党との連携がうまくいっていないことだ。
電気・ガス代など諸物価高騰に対処するための29.1兆円にのぼる総合経済対策でさえ、党の要求に岸田首相が折れ、一夜にして4兆円が上積みされたと、そのバラマキぶりが批判される始末だが、それも積極財政を唱える萩生田政調会長が、財務省幹部に「怒号」を発したのがきっかけだったようだ。
人事もちぐはぐだ。統一教会との接点が次々と発覚した山際大志郎氏が経済再生担当大臣を更迭されたと思ったら、わずか4日後には自民党の新型コロナウイルス対策本部長に就任した。萩生田氏の差し金ではないかと憶測を呼んでいる。
当然、強い批判が予想される人事であり、岸田首相が指示するはずはない。茂木幹事長も「これ政務調査会の人事でありますので、そちらにお聞きください」と記者の質問に答え、萩生田氏の介在をにおわせた。
自民党はいまだ統一教会の呪縛から解き放たれていない。暴露攻勢を恐れ、教団を刺激しないよう関係をあっさり認めてしまう副大臣や政務官、政府高官らが国会審議の中で続出したのには驚いた。大串正樹デジタル副大臣と山田賢司外務副大臣は、昨年の衆院解散前に教団関連団体との間で「推薦確認書」を交わし、木原誠二内閣官房副長官は推薦状をもらっていた。井野俊郎防衛副大臣は法務政務官だった2016年、教団関係者を政務官室に招き入れたと認めた。
とどまるところのない底なしの汚染。これでは、いくら岸田首相が焦りを募らせようとも、統一教会に本気で立ち向かい癒着を断つ機運が自民党から生まれてこないだろう。そのような政党に国政を委ねたままにしておいていいのだろうか。
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