教団の“代弁者”状態。統一教会「被害者救済法」を邪魔したい自民議員の名前

 

この与野党協議。立憲、維新にすれば、政権側に接近し「提案型野党」をアピールできる。岸田首相にしても、野党との連携強化で党内基盤の弱さを補強してゆく思惑があった。

これに対し、与党側が渋る要因の一つは、創価学会という宗教団体を母体とする公明党の意向があるからだろう。

公明党の石井幹事長は、「拙速に決めるのではなく、専門家の意見も踏まえながら、あとあと問題にならないように少し時間をかけて議論していくのがよいのではないか」と慎重な姿勢を示していた。

周知の通り、創価学会にも献金システムがある。「マインドコントロール」の定義によっては、献金被害と認定されるケースも起こり得るだろう。

もう一つ。あくまで推測だが、岸田首相に対する萩生田自民党政調会長の反発もあるのではないか。

岸田首相は10月17日の衆院予算委員会で、「旧統一教会と関係を持たずに政治活動を行ってきた私が責任を持って未来に向けて、この問題を解決したい」と大見得を切った。10月31日の自民役員会では「与野党協議会への対応を含め政府・与党でよく連携したい」と、協議の進展にむけてハッパをかけた。

岸田首相のそんな発言は、さぞかし統一教会と親密で野党嫌いな萩生田氏の気に障ったことだろう。萩生田氏は統一教会のみならず、多くの宗教法人を傘下にする日本会議との関係も深い。宗教団体への規制強化そのものに対して抵抗感が強いはずだ。

安倍・菅時代と違い、立憲民主党は岸田政権との距離を縮めている。宏池会出身の岸田首相とは肌が合うのだろう。それもまた、安倍シンパだった萩生田氏ら右派勢力には気に入らない材料だ。

ともあれ、岸田首相は自らの発言によって、統一教会問題の解決に期待値を高めた分、重い責任を負うことになった。被害者救済法が誕生するなら、政権浮揚につながるかもしれないが、不首尾に終われば、指導力不足を問われるだろう。

萩生田氏をはじめとした自民党右派と公明党は明らかに、岸田首相の思惑とは逆の方向に進んでいるように見えた。

与野党協議に任せておくと、被害者救済法案はまとまらない。そう思った岸田首相は萩生田政調会長と山口公明党代表を説き伏せて、法案制定を政府主導とするところまでこぎつけた。

しかし、政府の法案が、野党の求める内容と同じレベルになるかどうかはわからない。しかも、岸田首相は「今国会への提出を視野に最大限の努力をする」と、曖昧さをのぞかせている。「条文が出てこないと判断できない。これで安心とは言えない」(立憲幹部)という声も出ており、新法の実現に向けてはまだ曲折がありそうだ。

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