「募金」「ボランティア」を騙る献金集め
知っておいてほしいのは、寄付、ボランティアなど善意を前面に出したかたちでの活動は、旧統一教会において昔から得意とするところだということです。
過去には、街頭での偽募金活動や、私がいたところでは「しんぜん会」という団体を名乗って偽ボランティア活動をしていました。信者時代、同じグループの人たちとともに、「しんぜん会というボランティア団体です。寄付をお願いします」と一軒一軒、家を訪問した経験があります。
実際に、この団体は都内に存在します。そして、この団体に所属しているという身分証も一人ひとりに手渡されています。訪れた先の家人が、もしこの会の存在を疑ったときには、身分証を見せて信じさせます。そして、同会が発行する冊子などを見せながら、「車椅子を寄贈するために、寄付を募っています。ご協力願えませんか?」と言うように指示されます。
そして、ハンカチや靴下などの購入をすすめますが、これらの仕入れ値はさほどしないものです。ハンカチ3枚を袋に詰めて数千円で売ります。1日やれば1万円以上は集められます。もちろん、もっと売上を出す人もいます。
なかには、募金と聞いた人が、これまで貯めていた貯金箱を渡してくれることもあります。それは必ず受け取るようにとの指示がありました。
当時、それを十数人のグループで行っていました。土日は街頭に出て伝道活動をしますので、たいがい平日を中心に行われます。1人1日1万円と少なめに計算しても、週に100万円以上のお金は集められることになります。
あるとき、上の人に、
「この集めたお金はどうするんですか?」
と聞いたことがあります。すると、「今月は借金で献金した分の返済が厳しいからな。ほとんどはそっちに回し、あとはホーム(教団の施設)の家賃代などにあてることになるかな」
と言われたこともあります。このお金がボランティア団体である「しんぜん会」本体に行くことは、まずありません。すべてのお金は、所属する組織の上層部に上げられるわけです。
このように、ボランティアという名のもとにお金を集めるのは、以前から旧統一教会の得意とするところです。「善意」を前面に出すことで、訪問した先の相手を断れない状況に追い込んでいくわけです。心根がやさしい人ほど、お金を出してしまいます。
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