学校による隠ぺい
本件はその異様さから一部の保護者はいじめがある事を知っていて、個別面談でも不登校の話などが出ていたという。
しかし、これに担任は「うちのクラスに人間関係で休んでいる子はいない」など嘘をついたそうだ。突っ込まれると「女子卓球部のこどもにも親にも聞き取りをしたが、そのような事実はない」などと言ったという。
しかし、その段階では、聞き取りは行われていない。つまりは、いじめの事実を必死に隠していたわけだ。
さらに、この段階においては、すでに加害行為を常習的に行う子という加害者の特定は済んでおり、この子がいるときと居ないときでは、部内の様子が変わるということも共有されていたという。
また、被害生徒の保護者が、いじめの調査を求めたり、加害生徒への指導を求めると、「波風を立てることで、被害生徒本人の立場が悪くなる」などと半ば脅迫めいた発言も受けていた。
教育的指導を怠り、被害側の口封じをしようとしたり、対策放置した結果、いじめが常態化して被害者が深刻な状況になってしまったわけだ。
校長による妨害
この件でもっとも酷い対応であったのは、この中学校の校長の対応だ。
その実、令和元年11月下旬には、被害者は「いじめによる重大な被害」が医療機関より意見されている。文科省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、こうした深刻な被害に関しては、「重大事態いじめ」として対応することになっているが、当時の校長は、こうした医療機関の意見を受けての返答をこのようにしている。
校長 「それで?」
これをまともな対応と言えるだろうか。深刻な被害状況になっているのを見て、それを証明されたいる状態で、さらには、国のガイドラインでは、すぐさま対応しなければならないのに、だ。
当時の録音によると、校長は続けて
「(被害生徒)が人の目をじっと見て話す、ちょっと変わっている、親になんでもかんでも話すなんて逆におかしい。違和感を感じる」
「親まで一緒になって、いじめだいじめだと騒いでいる」
といじめの対応をする事を拒絶している。その後、市教育委員会や家児相(家庭児童相談室)などから注意を受け、「被害生徒に申し訳ない事をした」と謝罪の言葉を言っているが、いじめの定義も知らず、国のガイドラインも無視し、最も責任のある立場であるにもかかわらず、冷静な話し合いもしなかったわけだ。
そもそも、この令和元年の11月当時では、教員らはいじめの認識があったにもかかわらず、校長がこの対応では、何も進まなかったことは理解できる。
誤った対応を続け、その結果、この校長はとんでもない対応をするのだ。
いじめの存在を担任、部活顧問、学年主任などが認めていたのにも関わらず、「いじめはありませんでした」との書面を被害側に提示したのだ。
いやいや、そこじゃないでしょというところだが、この書面はいじめ発生の令和元年ではなく令和3年に作成されているのだ。結局、この校長は、いじめの事実を隠蔽し続けたことになろう。
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