マレーシアでその後起きたこと
その後の10年で、マレーシアで起きたのは、
- 中間層の親たちがインターを選択し始める
- マルボロカレッジなどの欧米発全寮制インターが登場して話題になる
- 「インターは高い」と言う人たちはホームスクールで英国式の中学卒業を目指す
- でも「たくさん勉強させる」公立にも根強い人気
という流れでした。
さらには、デベロッパーが不動産開発時に、インターを誘致する流れが相次いでいます。教育機関は不動産開発の「目玉」なんです。
また、庶民もインターを選択するようになり、マレーシアのカリキュラムだった私立学校がそのまま丸々インターに「変身」した例もあります。ただ、マレーシアのカリキュラムと、英国式のカリキュラムはもともと似ていますから、先生も「変身」しやすいのかもしれません。
インターは「お金持ちが行くところ」から変わっていく
インターは外国人やお金持ちが行くところから、庶民が行くところへ、という流れの一方で、その後、学費は10年でどんどん上がりました。昨今では、年間大体100万円以下のところを見つけるのが難しいほどです。
それでもマレーシア人が主流のインターがかなりあります。
また、留学生も増えました。15年前ほどは韓国人留学生が多かったのですが、そのトレンドが日本人や大陸の中国人に移りつつあり、今では「寮が日本人ばかり」「中国人ばかり」という学校の話を聞きます。
日本のインターにも、こんな感じで、これからアジアからの留学生が増えるかもしれません。
もう1つ、多分起きるのが、インター同士の先生の取り合いです。先生がすぐにやめてしまったり、引き抜かれたりします。特に費用が安いところでは頻繁に起きると思います。
「転校」が当たり前の選択肢になる
こうして選択肢が増えると、転校が増えていきます。「新しい学校ができたから行ってみたい」となり、学校を選ぶための「スクール・フェア」が毎年あちこちで開催されるようになりました。
インターにがっかりする親子もでてきます。
なぜなら「アジアの伝統教育」とはちがい「暗記教育」中心ではないからです。「アジアの伝統教育」を求める親には、インターの「新しい教育」の勉強量は量的に物足りないようです。そして、公立(または私立)に子どもを戻す例も見られます。マレーシアは公立学校の勉強が厳しいため、「もっともっと量を勉強させたい」親には公立も根強い人気。
インターの場合、値段が高くなればなるほど、設備が立派になり、スポーツや芸術が盛んになり、「遊んでいる」ように見えるかもしれません。
日本から来る方も、おそらく、大学受験のための「塾的」な存在をイメージすると、かなり驚かれると思います。
逆に、「勉強が緩いから」という理由でインターを選択する親もいます。
日本から来ると、「学費が高いのに、勉強が緩いとは??」とびっくりされる方がいますが、ガリガリ勉強させたいのなら、公立(それも中華学校)というのがこちらの一般的な見方です(実は教育哲学そのものが違うのです)。
マレーシアの場合、今の40-50代には完全に英語教育を受けた世代が多いため、「英語で教育してほしい」と思う親は多いと思います。
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