「ルフィ」率いる闇バイト組織の実態。特殊詐欺のプロが指摘したノウハウの数々

 

3.闇バイトの実態とは?

今回の強盗グループは、特殊詐欺における犯罪ノウハウを利用した形での犯行とみられていますので、この組織の肝は、役割分担にあります。

犯行をする上では、運転手役、家に押し入る役、電話で指示を受ける役とそれぞれがしっかりと役割を果たすことで、素人であっても、プロ並みの強盗手段を取ることができます。

もちろん、実行犯を募集する上でも、役割分担があります。これを行うものをリクルーターといいます。

この犯罪の恐ろしさは、TwitterやInstagramなどで高額バイト募集などの応募を通じて、一般の人でも、容易に詐欺や強盗などの加害者に回ってしまう点です。

私もかなり以前から、闇バイト事情を調べていますが、募集のパターンは決まっています。

SNS上に高額報酬、高額バイトなどの情報を載せます。それに興味をもった人物がDMを送ってくると、次にメッセージアプリで連絡を取り合います。今は、送信したメッセージを消すことのできるテレグラムを使うことがほとんどです。

するとリクルーターから電話がかかってきて仕事の説明をされます。その時に応募者の個人情報を聞き出します。そして「審査」などの言葉を名目にして、身分証を写真で撮って送らせます。

実は、これが詐欺グループにとって大事なことで、身元をおさえることで「家族にばらすぞ」「警察に垂れ込む」などという言葉で、犯行を繰り返し行わせることができます。

特に、強盗の実行犯は、詐欺犯を募るのに比べて、極めてハードルが高いので、こうした脅しが行われがちなります。一度、犯行に加わったら抜けられない。この怖さがありますので、絶対に、闇バイトに連絡を取ってはなりません。

いずれにしても、実行犯は捕まる存在です。すでに今回の事件では30人以上が逮捕されている事態となっています。

4.昨年、漫画「ワンピース」のキャラクターをかたる男と闇バイトで話した記憶が、しかし残念ながら……

今回の指示役の名は「ルフィ」といわれており、その他にも「サンジ」や「ゾロ」などがいるいわれています。

名称を変えるのは、おそらく犯行を様々な場所でしているので、指示する側がそれを間違えないようにするために、使い分けている面もあると思います。

実は、昨年2月にテレビの企画で闇バイトの募集へ電話をしました。数件電話をかけたうちの一件の闇バイトの募集に、違和感を覚えました。というのも、通常「あなたのお名前は?」と聞くと、架空ですが、日本語の名前を話すのに、その人物だけは、アニメのキャラクター名を答えたのです。

当時「なんだ、この名前は?」と思い、検索すると、ワンピースのキャラクター名が出てきたのをほんのりと覚えています。

しかしこの会話はオンエアーされませんでした。そこで、制作会社に当時の映像素材が残っているかを聞いたところ「もうない」ということでした。残念ながら、それ以上確かめることができず、犯行を行った人物の肉声を公にお伝えできることができず、とても残念な思いです。

その3か月後の5月に宝石店の強盗を行い、捕まったグループがいますので、同一グループの一人であった可能性はあると思っています。

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