昨今、日本では高齢者の自殺が増えている一方で、日本一自殺が少ないことで話題となっている街があります。今回、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんは、そのコミュニティの「秘密」を解き明かしています。
日本一自殺が少ない町「海部町」のコミュニティ
こんにちは!廣田信子です。
2013年11月に発表したマンションコミュニティ研究会の本、『これからのマンションコミュニティはこの一冊から「集まって住むってステキ!」』の中で、私は、目指す都市型コミュニティの形ということで、日本一自殺が少ない町、徳島県「海部町」のコミュニティを紹介しました(「海部町」は、今は市町村合併で「海陽町」の中にあります)。
岡檀(おか・まゆみ)さんの研究論文を読んで感動した話です。
今でも鮮明に覚えていて、マンションのコミュニティを考える場合の私の原点です。
10年が経過し、地元の自治体で、岡檀さんの講演があると言うので、聞きにいきました。
慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 特任准教授、一橋大学 経済研究所客員教授になっていらっしゃいました。
変わらないお話に心魅かれました。
久しぶりに、「海部町」のコミュニティを紹介したいと思いました。
自殺率は、コミュニティの性質と深い関係があるといいます。
一見、人間関係が濃い地方の方が、自殺率が低いと思われますが、実は、そうではないのです。
海部町には、「病、市に出せ」という格言が伝わっています。
悩みは、一人で抱え込まないで、周りの人に開示して助けを求めよというものです。
それが、回りまわってみんなのためになると自然に思われているのです。
ですから、海部町では、「がん」になっても、「うつ」になっても周りに隠しません。
みんなで悩みを共有してサポートするのです。
でも、これは意外に難しいことです。
近い関係ほど、弱みを見られたくない、迷惑を掛けたくないという心理が働き、一人で悩みを抱え込んでしまいがちです。
なぜ、海部町の人は周りに助けを求められるのか…です。