たった数百万でも揉めてしまう兄弟間の「遺産相続」問題。その原因はどこにあるのか?

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親がいれば、誰もがいつかは経験することになるであろう遺産相続。だからこそ、突然やってくるかもしれない相続について、知識をつけておくことは大切ですよね。今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で本のソムリエさんが紹介するのは、 小説形式で遺産相続のゴタゴタを体験できる本。紛争が起きないことが一番ですが、備えあれば憂い無しの一冊です。 

三つの遺産相続紛争を小説形式で仮想体験できる【一日一冊】負けない相続

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負けない相続

依田渓一 著/中央経済社

親が共同名義の土地を持っているので、相続対策を勉強しているなかで読んだ一冊です。三つの遺産相続紛争の事例について、小説形式で仮想体験できるところが素晴らしい。

遺産相続紛争というと骨肉の争いというイメージがありますが、こうして読んでみると、兄弟であるからこそ本音で、「これぐらい配慮してくれてもいいじゃないか」という甘えが、相互不信を生み、妥当な線での合意を難しくしていることがわかります。

例えば、長男夫婦が親の介護をしていたら、介護していた分だけ遺産を多くもらいたいと主張したい気持ちはわかります。一方、次男や長女としては、介護したからといって差をつけることに納得できないこともあるでしょう。そうした認識のズレがあるときに、遺産相続で揉めることになるのです。

こうした兄弟間の遺産相続紛争では、金額がたった数百万円の相続でも揉めることがあるという。

報われない介護…ただ黙々とお父様を介護するのではなく、率直に話し合って事前に相続対策をしてもらうとよかった(p42)

興味深いのは、生命保険金や葬儀費用は遺産分割の対象外で、保険金はそのままもらえるし、葬儀費用は喪主が負担するという原則です。また、相続手続き前に親族が勝手に現金や宝石・絵画を持ち出してしまうと,持ち出した証拠を示すことが難しく、多くの場合、泣き寝入りになるという。

こうした、遺産相続においては判例などに基づく基本的な考え方が存在するわけで、相続について専門家に相談する必要があることがわかります。この本では遺産相続紛争を弁護士を介して、家庭裁判所の調停で解決していますが、揉めてしまったら、専門家である弁護士に相談しないと交渉において不利な立場になってしまうのです。

そもそも相続は必ずやってくるものであり、事前に準備しておけば、時間もあるし、ある程度冷静になって、落ち着くべきところに落ち着く可能性が高まります。つまり、事前の準備が大切であり、事前の準備がないと、大きな揉めごとになったり、後悔することになるのです。

現金・宝石・絵画を持ち出されると泣き寝入りになる可能性大(p143)

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