核を使うなら墓場へ送る。金正恩政権の「終末」を公言した米韓の自信

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いつ実施されてもおかしくないとされる北朝鮮の核実験。金正恩総書記は核兵器により国際社会における自政権の地位を盤石のものにしようと試みていますが、はたしてその「野望」は遂げられるのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、共同軍事訓練後に米韓が発表した金正恩政権に対する警告の内容を紹介。さらに何が北朝鮮への軍事行動を躊躇させていた「障害」を除去したかを解説しています。

金正恩終末論は空言ではない

韓米が2月22日、ペンタゴンで核の傘訓練を実施した後、共同発表を通じて「北朝鮮政権の終末」を警告した。核を使えば、金正恩(キム・ジョンウン)政権を地球上からなくすという話だ。バイデン政権が公式文書を通じて「金正恩政権終末」を取り上げたのはすでに3回目だ。米国防総省が昨年10月に発表した核態勢検討報告書(NPR)に初めて登場し、翌月11月の韓米国防長官が出席した定例安保協議会議(SCM)共同声明にも入った。

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米政府が公然と北朝鮮政権の終末を口にするのは異例のことだ。政府公式文書を通じて繰り返し発表するやり方も前例がない。ブッシュ政権時代、ネオコン関係者たちが北朝鮮を「悪の枢軸」と規定し、レジームチェンジを主張したが、宗教的信念または政治的修辞に近かった。今バイデン政権から出ているのはそのような次元ではない。ワシントン事情に詳しい外交消息筋は「対北朝鮮軍事オプションの障害物として作用していた難題が、最近科学技術の進展で相当部分解決されたという判断が作用した結果」と話した。

94年、クリントン政権の寧辺精密打撃計画が失敗に終わった後、対北朝鮮軍事オプションは米国の優先順位ではなかった。どんなシナリオを検討しても人命・財産被害が莫大であることが分かった。北朝鮮が核武装に本格的に乗り出し、軍事オプションは後回しにされた。

北朝鮮もこれを狙ったのだろう。核があれば先制攻撃を受ける危険性が著しく低くなる。攻撃を受けても核兵器がたった一発だけ存在すれば、「お前が死んでから僕も死のう」式の報復が可能だからだ。「恐怖の核均衡」、相互確証破壊(MAD)の原理だ。北朝鮮が移動式発射台(TEL)や地下バンカー、潜水艦を積極的に活用するのは、核兵器の生存性を高め、報復能力を確保するための措置だ。

このような努力に冷水を浴びせる科学技術の成果がここ数年間相次いでいる。技術的進展は監視・偵察分野で顕著である。少し誇張すれば、北朝鮮が運用する数百台のTELを常時監視する水準になった。

安保部署の関係者は「米国のSAR(映像レーダー)偵察衛星は北朝鮮上空を通過する度に北朝鮮全域で起動する軍用車両の大部分を識別・追跡できる」と話した。低軌道SAR衛星は北朝鮮上空を1日2~3回通る。15台だけ配置しても監視周期が30分台だ。スペースXが毎月数百台の人工衛星を宇宙に飛ばす時代だ。同社の顧客の中にはペンタゴンもいる。

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