優先順位は、明確に指示をしなければ伝わらない
さらに部下は、上司から一気に頼まれると優先順位をつけられなくなります。指示をするときは、締切や優先順位を明確に示さないと、部下は間違う場合があります。部下にとって上司からの指示はすべて優先順位が高いものだと思ってしまうからです。
部下の仕事を見て、「そんなの後でいいのに。それより、今指示した急ぎの業務をなぜ先にやらないのかな」などと、イライラした経験はありませんか?それは、あなたが思っている以上に部下は優先順位がつけられないからなのです。
優先順位の指示がないと、部下はリーダーに言われた順番に仕事をしようとするか、あるいは勝手な判断をします。また一度にたくさん伝えてしまうと、部下は混乱します。一度に伝える指示は1つ、多くても3つまでにして、複数なら優先順位をつけるべきです。
一度にたくさん指示を出すと優先順位が明確に伝わらず、急ぎの仕事が後回しにされるなどの事態が起きかねません。まとめて伝えることで時間を節約したつもりが、伝達不明瞭でかえって仕事が遅くなるのです。
業務進行表で仕事内容を共有する
仕事が速い人は、仕事を1つ1つ指示します。思いつくままに指示をしていくのではなく、毎朝もしくは昨日のうちから、どの仕事から頼もう、頼んだ仕事はどうなっているかなどを、事前に確認し、計画を立ててから指示を出すのです。仕事の順番や、どの仕事を優先して欲しいか、しっかり伝えるのです。
さらに、部下が理解できていない、仕事が多くて大変なのに困るといった表情を見せているときは、話を止めて、質問や疑問点はないか確認します。「今どのくらい仕事を抱えているの?余裕はある?」といった聞き方もよいでしょう。
私は、全体的な仕事を把握するために、業務進行表を活用することによって、部下が今どの仕事をしていて、どれだけ仕事を抱えているかを社員間で共有しています。
進行表があればそれを頼りに指示すればいいのではないかと思われるかもしれません。しかし、進行表を見ながら指示をし、さらに確認の質問をする2段階方式がいいのです。進行表を見ることで部下の状況を確認しながら話せるし、さらには質問・確認することで部下も落ち着いて仕事を進められるからです。そして何よりリーダーが配慮してくれているのだなと、部下からの信頼も得られます。
また人は一度に長時間のコミュニケーションをとるより、短時間でも数回に分けてコミュニケーションをとるほうが、信頼関係が構築されやすくなります。心理学でいう「単純接触効果」です。
そういった意味も兼ね合わせると、一度にたくさんのことを伝えるより、1つずつ数回に分けて指示するほうが正確に伝わるし、コミュニケーション的にもいいでしょう。
複数の伝達事項がある場合には、一度に全て伝えるのではなく、部下が理解しやすいように数回に分けて伝えていくようにしましょう。
部下に指示するときの注意点
最後に指示の出し方のまとめです。
1.まとめて指示をするのではなく、小出しに指示をする
2.あなたと部下が思う優先順位は必ずしも一致するとは限らない。仕事の順番についても明確に指示をする
3.部下の進捗度合いを把握するために、疑問点の確認をする
4.業務進行表を作って、仕事内容を共有する
「部下が指示通りの仕事をしない」「優先順位が違う」「締切が守れない」こんな不満を抱えている方は、不満の原因が伝達の仕方にある場合が多いのです。明確に指示することによって防ぐことができるミスは、防がなければなりません。
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