なぜ、現役精神科医は尊厳死や延命治療を良しとしないのか?

Patient using nurse alarm button for emergency belled on sickbed at hospital
 

人間の尊厳とはなにか

今は、家族が延命を求め、患者の幸せを考えず、酒を取り上げ、タバコを取り上げ、しょうゆを取り上げ、お饅頭を取り上げる。そんなことをしても長生きできないことを渡辺徹さんが教えてくれたのに、人間の尊厳を認めて、高血圧や糖尿病の治療拒否とか、控えめの治療が許されない。

頭がはっきりしていて、元気に旅行に行けるうちの尊厳は認められず、死にかけになってから尊厳が大事という。本当に不思議な国だ。

いずれにせよ、コロナ禍で、パッと散っていいから、老い先短いのだから仲間と酒を飲みたいとか、残りの人生で旅行に行きたいという考えは否定された。

パッと散ることはいけないこととされ、だらだらと家に閉じこもって生きていることが大切、そうでない人間はわがままということでバッシングを受けるようになった。

命が大切だから、自由なんてどうでもいい。移動の自由も、人と話す自由も、会食の自由も奪われた。そして、それが自由の危機という人はほとんどおらず、いてもテレビには絶対に出られない。

桜のようにいきたい価値観はどこに行ったのだろう?

それを考えると野球は桜のようなものだ。

現役の黄金時代はそう長くないし、みじめな晩年を送ることも少なくない。比較的長い間、幸せな時期が続く勉強ができる人より、野球型の人生に魅力を感じるというのは日本人的だ。

私は、桜もいいが、歳をとっても幸せという考え方が大事だと信じるようになった。ただ、それは命が長ければいいというのとは違うことは明言したい。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年3月25日号の一部抜粋です。

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