年を重ねるごとに実感する体力の衰え。20代以降は10歳ごとに5~10%体力が低下していくとのデータもあるそうです。しかし、「運動したほうがいいとは思うけど、お金や時間はかけたくない」という声も多いはず。そんな人に糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師がオススメするのが、速歩と緩歩を繰り返す「インターバル速歩」です。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、NPO法人熟年体育大学リサーチセンターが推奨するこの運動法をレクチャー。江部先生自身、73歳のいまも衰えることなく仕事ができているのは、院内では常に速足だからと考えると、納得できる方法のようです。
インターバル速歩と体力
● 「科学的エビデンスが支えるインターバル速歩」NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター 理事長 信州大学大学院特任教授 医学博士 能勢 博|NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター(JTRC)
能勢博士によれば、ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していくそうです。これを防ぐために、アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、個人の最大体力の60~80%に相当する強度の運動を、1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて効果が上がらない、とのことです。
そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩は、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、週に4日以上実践すればOKです。
速歩だけを行えばよいようなものですが、速歩を5分、10分連続的に続けるのは体力的に難しい人が多いようです。それで、3分交代なのですね。
ウィークデ─が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が週60分になるように実施してもいいそうです。
能勢博士の研究によれば、インターバル速歩を5ヶ月間行えば、
1)体力が最大20%増加
2)生活習慣病指標が20%改善
3)医療費が20%抑制
とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。
私は、73歳ですが、階段を4階くらいまでは駆けあがります。速歩を続けても、まったくしんどくありません。
運動は、2週間に1回くらい、おじさんのテニス(ダブルス)を4セットくらい行うくらいで、スポーツジムなどは一切通っていません(40代前半に1年間くらい週1回スポーツジムに通ったことはあります)。そのわりに体力が全然落ちないので、少し不思議に思っていたのですが、能勢博士の研究や説明で、腑に落ちました。
「速歩が1日トータルで15分以上になるように、週に4日以上」
これが目標なら、江部康二は、1979年29歳で高雄病院に就職して以来、毎日速歩で院内を60分以上は歩いていましたので、軽くクリアです。
基本、私の歩行はほとんどが速歩で、ゆっくり歩くことはあまりありません。幸い、速歩で60分間以上歩き続けても全く息切れもありません。手持ちのヤマサの活動量計で測定すると、歩数の60~70%が速歩(パワーウォーク)でした。
生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、73年間、結果として私の体力を保ってくれたようで、ありがたいことでした。
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