ロシア敗北を見越した中国。習近平が早くも進める「プーチン後」の人事

 

ロシアの友好国にすら外遊できなくなったプーチン

プーチンなどが、ICCからの戦争犯罪人として逮捕状が出たにもかかわらず、CSTO加盟国のアルメニアは、ICC加盟申請をした。

CSTO加盟国のタジキスタンもICC加盟国であることから、プーチンはロシア友好国にも外遊できないことになっている。南アでBRICSの首脳会議があるが、それにも出席ができない。

この13ヶ月にロ軍が失ったのは、3,595の戦車、7,000の歩兵戦闘車、2,638の火砲、523のロケットランチャー、277の防空システム、305の戦闘機と291のヘリである。

動員で今年40万人を集めるが、志願兵には、前線で1km前進したら、5万ルーブルの報奨金を出すとした。そして、手始めに、プーチンは14.7万人の新兵を召集する動員令に署名した。

プーチンは、西側制裁がロシア経済に打撃を与えていることを認めた。ロシア経済は2023年は、マイナス5.6%だとOECDは予測している。また、企業は労働者不足になり、50万人の動員と100万人の動員逃れの海外脱出による。

ベラルーシにプーチンは、戦術核を配備するとしたが、3月21日の中ロ首脳会談で、「海外に核の分散はしない」という共同声明を出したばかりである。ロシア外務省は、ベラルーシはロシア連邦加盟国であり、海外とはならないと声明を出した。

ロシアでWSJの記者が拘束されたことを受けて、米政府は、ロシアに在住または旅行中の米国人は直ちに出発することを勧告した。ロシアは米国を敵と認識したことで、米国もそうせざるを得ない。

日本もロシアへの輸出禁止措置を新たに418品目まで拡大するとした。今回発表された措置は4月7日までに実施される。対象としては、無人航空機とその部品の他、鉄鋼・アルミニウム類、建設機械、航空機・船舶用エンジン、電子機器、発電機、輸送用機械、光学機器、写真用機器、測定機器、検査機器、三輪車、玩具(車輪付き玩具、人形、縮尺模型、パズルなど)などであるが、中古自動車が含まれていないようである。日本政府は、ロシアの一番必要なものを止めないようである。

ロシアの民主化を阻止したい中国が進めるプーチン後の人事

中国への半導体製造装置の禁止が日本でも始まった。これに対抗して、中国も、米メモリー半導体大手マイクロン・テクノロジーをサイバーセキュリティーの観点で調査し、製品輸入を止めるようである。中国製半導体メモリを使うことができるので、米国製を必要としなことになる。というように、半導体戦争になってきた。

この中、日本の林外務相が4月2日に中国を訪問する。日本人の逮捕容疑や半導体輸出制限、東シナ海での行動などを協議し、中国のウクライナ和平仲介案を聞くことになるかもしれない。

中国は、ロシアに対して、ウ軍の春大攻勢でロ軍敗退が、ある程度見通せた時期に、先週に述べたような「広義の外国人を全て追放し、70~100キロの中・近距離で機能するあらゆる種類の兵器の使用を禁止する緩衝地帯を設定する」仲裁案を出すとみる。勿論、その地域はウクライナ国内であるが、ウクライナの支配権を認めることになる。

ロシアがなくなるとか、ロシアが民主化することは、中国にとっては大きな痛手になるからで、専制主義体制のロシアを存続させることは必要だからである。このため、パトリシェフ安保会議書記を中心にプーチン後の人選をしている。

中国の台湾侵攻時に、ロシアが民主化して、中国の裏側を攻められたら、台湾進攻ができないことになる。中国も海軍の増強はしたが、陸軍の近代化は遅れている。

もし、ロシアが民主化して、欧米兵器で近代化した陸軍で中国を攻めると、中国は今のロシアと同じことになる。中国の望むことは、台湾進攻時のロシアの国体が中国同盟国であり、このことが最重要なのである。

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