ロシア敗北を見越した中国。習近平が早くも進める「プーチン後」の人事

Belgrade,,Serbia,-,January,17,,2019,:,Vladimir,Putin,,The
 

プーチン大統領の「3月末までのウクライナ東部完全制圧」という命令を遂行することができなかったロシア軍。ウクライナ軍に対する攻撃の頻度もスピードも落ちてきたとの報道もありますが、戦争はこの先、どのような推移を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、前回に引き続き最新の戦況を解説。さらにウクライナが進める春の大攻勢の準備を紹介するとともに、予想される中国の動きを考察しています。

ロ軍の攻撃に勢いがなくなり兵員不足に。ウ軍の大攻勢はあるか?

ロ軍は、バフムトとアウディーイウカの2拠点の攻撃に絞り、兵員不足と装備枯渇を凌いでいる。ウ軍の春攻勢が4月か5月に始まる。

バフムト方面

ウ軍も増援部隊を出して、バフムト市を死守しているが、ロ軍も攻撃を市内に絞り、バフムト中心部、市庁舎の占拠を優先している。

ワグナー軍は、損耗が大きくかつ補充ができないことで、現存する部隊の多くを市内攻撃に振り向けた。市内でのT0513号線を北から前進し、南側からもT0513号線を北上して市中心部に到達したようである。ウ軍増援部隊が到着したが、前進を食い止められていない。ウ軍は徐々に撤退して、ワグナー軍の損害を大きくしている。

バフムトフカ川を渡河したワグナー軍は橋頭保を確保したが、市内のビルから狙撃されて、それ以上には前進できないでいる。このため、ロ軍は市内のビルを集中砲火を浴びせている。

ウ軍はロ軍の火砲を攻撃して、1日10門程度を破壊しているし、500名程度を死亡させていると述べている。自軍の損害を最小化して、ロ軍の損害を大きくすることに注力しているようだ。

ショッピングセンターのロ正規軍は攻撃しても前進できていない。

どうも、バフムト郊外の平地では、損害が大きいが、市街戦の方が損害が大きくないことで、ワグナー軍は市街戦を優先し始めたようである。

ワグナー軍は、郊外ではオリホボ・バシリフカへの攻撃しかなく、、イワニフスク方向のロ軍空挺部隊はウ軍に押さえこまれて、攻撃できないようである。

バフムト包囲作戦を中止したことで、包囲が解け始めている。市街戦だけの状況になっている。

バフムトに兵員を集めていることで、クレミンナ方面やリシチャンスク方面でも攻撃がない。

ウ軍はチャンプ・ヤールに戦車、装甲車部隊を待機させているので、ロ軍の損耗を見て、兵員数が少なくなったら、反撃に出るように見える。

ここに派遣されたロ軍兵がSNSで、「ロ軍は犯罪集団だ」と述べている。中隊160人が前線で戦ったが、下がると督戦隊に殺され、上官からは、皆死んで来いと言われ、事実160人が20人になった。このような軍隊ではおかしいとプーチンに直訴している。

ロ軍の実態は、軍隊の組織をなしていないようである。ワグナー軍だけが、軍隊としての体裁を持っているようだ。ロ軍は組織化されてない暴力集団化した組織になってしまっている。これでは勝てない。

アウディーイウカ方面

アウディーイウカ周辺で、ロ軍は包囲作戦を開始したが、クラスノホリフカを占領後、ノボクリノベやボダニウカ、セベルネ、プレボマイスクに攻撃しているが、ウ軍に撃退され、占領地を広げることができないでいる。

その他地域

マリンカにもロ軍が攻撃しているが、ウ軍は撃退している。この地点は、数か月攻撃をしているが、ロ軍は前進できないでいる。

ボハレバラでのロ軍の攻撃はなくなっている。

ウ軍は、TU-141無人機を使い、ロシア国内各地の防空体制をチェックしているようである。3,000km以上飛べる無人機も開発でき、春攻勢時に陽動作戦で、ロシア各地を攻撃するようである。また、TU-141を約100機持っているので、これを使うことになる。そのためにロシア国内防空体制を調べているようである。このため、つい最近、モスクワ州の隣のテゥーラ州の化学工場を攻撃爆破。その前にも、首都モスクワに接する地域に数度も無人機が着弾している。

同様にクリミアにも無人機や無人ボートで攻撃して、ロ軍の防御体制を見ているようである。

ザポリージャ州の前線では、ウ軍が威力偵察を繰り返し行っているが、ウ軍は報告していないために、詳細が分からないが、春攻勢での突破口を何処にするのかを調査しているとみる。

ウ軍は春大攻勢の準備をし始めているようである。

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