選手として成功しなかった栗山英樹が、最強のチームを導く監督になるまでの話

Baseball boys
 

考えてみれば、苦しい時にそれを不満に思うか、ありがたいと思って乗り越えるか。

この二つの違いは実に大きいですね。

実は僕自身、ダメな選手だった時に、ある人によって助けられた思い出があります。

入団した年、優秀な二軍選手が何人もいる中で、テスト生の僕は誰からも相手にされませんでした。

しかし、二軍監督の内藤博文さんだけは練習が終わると「栗、やろうか」とノックを打ってくれたり、ボールを投げてくれたり、いつも練習に付き合ってくださったんですね。

その年の一軍が開幕すると、僕と同期で入ったドラフト一位指名の高野光がすぐに開幕投手に選ばれました。

悔しくて、さらに落ち込んでいる僕に内藤さんは「栗、人と比べるな」とひと言声を掛けてくださったんです。

「俺は、おまえが少しだけでも野球が上手くなってくれたら、それで満足なんだ」と。

その頃の僕は、中学生に負けるくらい野球が下手になっているんじゃないかとすっかり自信をなくしていましたが、内藤さんのこの言葉によって救われ、その後も野球を続けることができたんです。

内藤さんが亡くなる前年、ある喫茶店でやっとお会いできた時、体調を崩されていた内藤さんが、近くにあった箒を持って監督になっていた僕にバッティングを教えるんですよ。

あまり言葉になっていませんでしたが、「内藤さん、俺のことをまだずっと心配してくれていたんだ」と思ったら涙が出てきちゃって……。

そういう人と出会えて指導者としての基礎をつくっていただいたことは、まさに幸運だったと思っています。

 image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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