偉業を達成してもなお進化を続ける羽生善治が大切にしている事

Japanese chess
 

小林 「先生に先ほど聞かれたことを僕も質問したいのですが、棋士にはどういう資質が求められるのですか」

羽生 「打たれ強さ。これに尽きると思います。結果を気にし過ぎてもいけないし、深刻に受け止め過ぎてもいけない。かといって目の前にある現実から逃避してもいけない。その辺りの加減がとても難しいんですね。

自分なりの方法論のようなものはたくさん出てくるのですが、一つのやり方を確立しても、そこにはいくらでも改良の余地が出てきて、後に大きく変わることもあります。結局はその時に最良と思う自分なりのスタイルを持続させていくしかないと思うようになりました。

取材などで『モチベーションをどう維持するのですか』とよく聞かれるんですが、これも体調などとも関係しますし、モチベーションをずっと維持し続けるのは難しい部分があります。アスリートであれば、試合前の1か月、1週間にピークを持っていって調整していくことができるのかもしれませんが、私たちのような10年単位だとまず不可能。だから多少の浮き沈みは仕方がないと受け止めて、その場その場で自分のベストを尽くしていくことが大事ではないかと思っています」

小林 「大切なことですね」

羽生 「長いことやっていると、自分でも信じられないような負け方をすることもあれば、信じられないような勝ち方をすることもあります。薄氷を踏む思いで対局に臨むこともたくさんあるわけですが、長い目で見ると五分と五分かなというのが私の感覚なんです」

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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