一連の選挙で露呈した自民党の抱える深刻な問題
以上、三人の自民党実力者たちに共通するのは、自信過剰ゆえの視野狭窄であり、欲深さゆえの自滅だ。
ただ、これらの選挙における敗戦を、首相候補を自任する彼らの力をもってしても十分に選挙組織をまとめ切れなかったという点でとらえると、自民党のかかえる深刻な問題がくっきりと浮かび上がる。
創価学会や統一教会の票に依存する病が全国の党組織に広がり、自民党の集票基盤が想像以上に傷んでいるのではないかということだ。
政局的には、5月19日から3日間のG7広島サミットが終わったあと、来秋の自民党総裁選をにらんで、岸田首相がいつ解散、総選挙に踏み切るのかが焦点になる。
岸田自民党の側から冷静に見ると、維新の躍進は今のところほぼ関西に限られており、在阪メディアの報道ぶりの影響も大きいため、さほど切迫した脅威とはいえないかもしれない。軸足の定まらない立憲民主党は言わずもがなである。
しかし、だからといって、自民党が安泰であるとも思えない。野党の弱さにかまけて、人材を育てることを忘れ、そのために党内に切磋琢磨する気風が乏しい。それが、先にあげた3つの選挙の敗戦にもつながっているのではないだろうか。
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