自滅した高市、世耕、西村。地方選と補選でポスト岸田を狙う面々の手痛い「敗戦」

 

自業自得の高市早苗、相手が強すぎた西村康稔

維新の凄まじい勢いは高市早苗氏(経済安全保障大臣)の野望も打ち砕いた。前半戦の奈良県知事選。高市氏が会長をつとめる自民党奈良県連は、高市総務相時代の秘書官、平木省氏を推薦したが、それに現職市長の荒井正吾氏が反発し、自民の一部県議らが荒井氏の支援に回る保守分裂選挙となったため、維新が公認した元生駒市長、山下真氏の圧勝を許した。

なぜ高市氏が荒井氏を擁立しなかったのかについては、世論調査の結果だとか色々な理由があげられているが、要は、自分の扱いやすい平木氏にすげ替えたかったということだろう。

だが、荒井氏は頑として引き下がらず、党本部に泣きついた。昨年11月に、森山裕・自民党選対委員長から電話で「出馬した方がいい」と励まされたのに意を強くしたのか、12月には党本部を訪れ、二階元幹事長から「がんばれ」と尻を叩かれた。

荒井氏が出るとなれば、県連は一枚岩というわけにはいかない。文字通りの分裂選挙となり、票は大きく割れた。高市氏の敗戦の弁も、恨み節に終始した。

「県連推薦以外の方を党本部が応援したのではないかという疑問の声も上がっている」「県連が分裂したように報じられることは、平木候補を全力で応援してくれた県連の皆様から耐え難いという声をいただいている」

荒井氏とうまく話をつけることをせずに、党本部が悪い、メディアが悪い、とまくしたてても、後の祭りだ。問題は高市氏自身にある。

世耕氏と同じく安倍派の後継会長の座を狙う西村康稔氏(経産相)もまた、今回の統一地方選では痛い目にあった。

明石市長選。といっても、戦う相手は維新ではない。子育て支援で全国的な知名度を誇る明石市長、泉房穂氏が2011年2月に設立した地域政党「明石市民の会」だ。

暴言問題の責任をとり4月末の任期満了で退任する泉氏が「明石市民の会」推薦の後継者として送り出した丸谷聡子氏が大差をつけて当選し、西村氏が担いだ林健太氏はあえなく落選したのである。

西村氏は明石市と淡路島を区域とする衆院兵庫9区で7期当選を続けている。泉氏とは東大時代からの知り合いだ。泉氏の動きに対抗するため、県連の意向をさしおいて、自民党市議のなかから「若い力に期待したい。全責任を取る」と林氏を指名した。

しかし、泉氏の人気は並外れていて、明石市議選でも「明石市民の会」に所属する5人が全員当選した。

西村氏は選挙結果を受け「完敗だ。候補者自身はよく頑張ったと思う。全責任は私にあると考えている」と語った。

西村氏は4月16日放送のBSテレ東番組で、「日本の将来のため、リーダーとしてやらなければならないという気持ちは強く持っている」と述べ、首相をめざす意欲を示したばかりだ。

しかし、西村氏については、その過度な要求にストレスをかかえた秘書が次々と辞めていったことが週刊誌で報じられるなど、人望のなさが問題にされることが多い。

西村氏と灘校・東大の同窓である精神科医の和田秀樹氏は「頭はすごくいいけれど、人の気持ちへの共感能力が極めて低い。地元兵庫や記者も、上から目線で不遜なところがある嫌な人という印象を持っているようだ」(PRESIDENT Online)という。それが本当だとすれば、とても首相に向いているとはいえない。

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