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【有田芳生×小林よしのり Vol.2】「飯島愛の裏ビデオ」が“統一教会潰し”に必要だった?公安が押収した意外な理由

韓国でおこなわれ、多くの日本人も参加した「合同結婚式」も話題のカルト教団・統一協会。安倍晋三元首相の殺害事件を機に明らかになった、日本の政治へ深く関与している実態と大きな影響力は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。去る3月に刊行された『統一協会の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』(扶桑社新書)の出版を記念し、戦う漫画家・小林よしのり氏と有田芳生氏、そして作家の泉美木蘭(いずみ・もくれん)さんをゲストに迎えたスペシャルライブ「オドレら正気か?『統一協会の闇special』」の模様を、前回のVol.1に続いてテキストにて特別に公開いたします。

※本稿での世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の表記は、各氏の意向に基づき、小林氏・泉美氏の発言部分は「統一協会」、有田氏の発言部分は「統一教会」としています

有田芳生×小林よしのり 特別対談アーカイヴ

有田芳生×小林よしのり Vol.1
有田芳生×小林よしのり Vol.2
有田芳生×小林よしのり Vol.3

有田芳生(ありた・よしふ):
1952年生まれ、ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。2022年12月より、まぐまぐのメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』が好評配信中

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小林よしのり(こばやし・よしのり)
大学在学中、「週刊少年ジャンプ」にてデビュー作『東大一直線』を連載開始。「月刊コロコロコミック」にて連載された『おぼっちゃまくん』が大ヒット。アニメ化もされ、第34回小学館漫画賞を受賞。「週刊SPA!」の連載『ゴーマニズム宣言』が大人気に。2015年5月より、まぐまぐのメルマガ『小林よしのりライジング』が好評配信中

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有田芳生×小林よしのり特別対談(2) 公安が「無断侵入」「50人で尾行」の衝撃。なぜ彼らは裏ビデオまで持ち帰ったのか

小林:有田さんを公安が付け狙っていたのはなぜなの? 有田さん、なんかそんな危険なことしているの?

有田:いや、彼らが言うには、特にテレビで過激な発言をしたときに危ないなっていうことで身辺警護でつけてたと。僕は当時ね、酒は好きなんだけど、たまにしか飲みに行けなくて、池袋にあった沖縄料理の『おもろ』っていう店にテレビ局が車で送ってくれて、1回ぐらい飲みに行ったことあるんですよ。「まれに飲みに行ってましたよ」って言ったら、公安は「いやそこにもいたんだ」って言うんですよ。

泉美:身辺警護で仕事場の中まで入ってくるってどういうことなんですか?

有田:それは身辺警護じゃないでしょうね。

泉美:そうですよね。だから要するに、有田さん自身が統一協会と関係があるんじゃないかとか疑われてたっていうこと?

有田:いや、どういう資料を持っているのか知りたかったんじゃないかな。当時は四畳半一間の和室の汚いところに資料が散乱してたんです。でも警察に言われて、あれっと思い出したことがあったの。その部屋から神保町に引っ越したときに、押入れの中のダンボールにポンっと置いていたものがなくなってた。それは警察、警視庁公安部が持っていったと思うんです。

有田芳生氏

何がなくなっていたかというと、『噂の眞相』っていう雑誌があったじゃないですか。『噂の眞相』と僕は親しかったので、噂の真相の当時の副編集長が、あるビデオをくれたんです。で、あるビデオっていうのは、飯島愛さんの裏ビデオだったんです(笑)。だけど僕はそんなもん家に持って帰れるわけないし、でも、事務所にはテレビもないんでね、だから押入れの中のダンボールの一番上にポンと置いておいた。それが引っ越しのときにないんだよ。押収されているわけですよ(笑)。

泉美:押収っていうか泥棒ですよね。飯島愛泥棒ですよ、それ。

有田:だってないんだもん。印象にあるでしょ? 僕はそんなん家にも持って帰れない、事務所にもテレビはない。だからもらったけども、本当にダンボールにポンと置いていたの。それは印象に残ってますよ。そしたら引っ越しの時にないんだもん。2回入ったって言ってました。2回ですよ。

小林:それとついでに、個人的な趣味として(笑)。

小林よしのり氏

泉美:要するに警察は、それだけ秘密裏に情報元を欲しがっていて、本気で統一協会を摘発しようと考えてたっていうことに繋がるんですかね?

有田:確かに良心的に考えれば身辺警護をしてくれてたんだと思う。と同時に、当時は多くの幹部にもこっそりと会っていたんで、誰と会ってるのかを見張っていたのかなと思いますけどね。

小林:統一協会にしろオウムにしろ、カルト宗教団体の情報を人よりもいっぱい集めてるかもしれないと見られてるってことだよね。だからその中にどんな資料があるのかに興味があって探していたんだろうね。ジャーナリストはそういうもの持ってるもんだっていう感覚がおそらくあるんでしょう。漫画家はそんなに持ってないけどね。怒りに任せてめちゃくちゃ描いてるけど。ジャーナリストなら案外、根拠となる資料を持ってると思うんですよ。それで、そのように調べてしまうことになるんじゃないかな。

有田:資料はありますね。1987年の5月3日に、兵庫県西宮市の朝日新聞襲撃事件は散弾銃で襲われて、当時29歳の小尻知博記者が殺されて、警察は右翼、新右翼を捜査すると同時に、統一教会の信者52人リストアップしたんですよ。それはメルマガにも書きましたし、これまでもちょっと紹介したかな。

捜査当局の資料として統一教会の重点対象一覧表があって、A4で3枚、52人の信者たちの名前が書かれていて、一番上に名前のある人は勝共、つまり国際勝共連合の勝共非合法軍事部隊と書いてある。2番目の人は自衛隊出身者で自衛隊を辞めて右翼に行った人物。市ヶ谷の自衛隊にいたんだけれども、右翼になった人。そしてその人の備考欄には、統一教会軍事部隊って書いてある。そういう資料は持ってたんでね。彼らが入ったときにはなかったんだけれども、確かにジャーナリストはいろんな資料は入手しますからね。漫画家と違って。

小林:そうそう。ジャーナリストだと、そこは大きいよね。直接取材に行かなきゃいけないからね。昔、鈴木邦男が、赤報隊の件でかなり取り締まりを受けて、ものすごい憤慨していたんだけれども、赤報隊が統一協会と関係があるみたいなことは、鈴木邦男とか一水会のみんなは知っていたかもしれない。

だから統一協会に関しては、一水会の人たちはすごく敵対的というか、批判的な感じがあったから。それはもう自分たちではなくて、統一協会だっていう感覚があるんでしょ。統一協会問題に関しては、有田さんとの対談本を担当編集者が送ったら「すごく小林さんを応援してます」みたいなメールを送って来たらしいから、彼らも統一協会は本当は赤報隊とかにも関わりがあるんじゃないかと思っていたのかもしれない。

儒教カルトに侵されてた自民党保守派の矛盾

小林よしのり(以下、小林):でも、問題は、公安にしても本当に取り調べをするところまで絶対にいかないわけじゃない。やっぱりどっかで変わっちゃったんですよね。結局、宗教団体として名前を変えればそれに許可を出してしまうし、公安の人間が統一協会の集会に出ていって、それで挨拶したりとかもしてるから、むしろ公安は統一協会の側にくっついた状態になってしまってる。

そういうふうに変わってしまったのって、一体何なんだ。やっぱり安倍晋三が一番大きいわけですよ。安倍晋三がビデオメッセージを統一協会に送ってたでしょ。それで家庭を大切にするというのは、統一協会のすごくいいところだみたいな感じでビデオメッセージで喋っていたからね。

だから、わしはね、統一協会と自民党、特に安倍政権のときの癒着ぶりはもう本当にすごい状態だったと思うんです。価値観を統一協会と共有している。家庭を大事にすることとか、あるいは純潔教育とか。いわゆる反動的な保守の理念は、全部、統一協会と自民党の安倍の周りの連中みたいなのは価値観が一緒なんです。だからLGBTの問題や同性婚の問題とかは、統一協会も批判して封印して、自民党、特に安倍政権もそこを徹底的に封印している。八木秀次なんかは統一協会とかなりベタベタで、同じ価値観なんですよ。

でも、これは変な話じゃないですか、統一協会は反日反天皇で、家庭を大切にとかアナクロ的であって、本当に家庭を大切にしているわけではなく、実態は家庭をどんどん崩壊させていってるんだからね。けれども家庭を大切にって言えば、絶対に通じるわけですよ。それは結局何なのかって言ったらね、儒教なんですよ。儒教がカルト化してるんですよ。

だから、統一協会が教義として聖書を使っているのを見れば、キリスト教と儒教が合体していることがわかる。男尊女卑なんですよ。キリスト教も男尊女卑に書き換えられてしまっているという状態。全部がその価値観ですよ。男尊女卑で、日本はエバで韓国がアダムでと、日本からどんどん韓国に金を渡さなきゃいけない形になってしまっている。

数年前にケント・ギルバートが儒教を批判する本を出した。あの中では、中国とか韓国は儒教のバリバリの国だが、日本では儒教が渡ってきたときに、道徳に転化してしまって、宗教としては入ってきてないと書いてあった。それね、正しいんです。本当なんですよ。

これはやっぱりね、道徳として日本の中に入っているんですよ、論語とか。でも本当の儒教って、そういうもんじゃないんですよ。宗教なんですよ。道徳訓じゃない。だからこれはね『スカートの風』というオ・ソンファさんの本を読んだらすごくわかるんだけど、韓国社会は強烈な儒教の世界中国の方からやって来たけど、その儒教思想、男尊女卑の思想が、もう宗教として入って来ちゃってるから。

たとえば日本人が韓国人の男と結婚して家庭に入ったら、もう冠婚葬祭の全てを女が徹底的にやらないかん。それで一番末席に嫁が座らなければいけない。もちろん夫婦別姓。儒教は夫婦別姓だから。台湾も夫婦別姓ですしね。もちろん中国も別姓ですよ。そしたら、夫の墓には入れない、完全な男系社会なんですよ。

泉美:夫が先に死んだときに未亡人って言うのも、あれもまだ亡くならない人ってあてているけど、あれも儒教の感覚なんですかね?

小林:そうかもしれない。ちょっとそこはわしは詳しく知らんけど。だから、今の世界の中で、日本はものすごく少子化になってるけど、韓国はもっとすごいんですよ。もう男尊女卑が強すぎて、家庭の中に女の人が入ろうとしないんですよ。だから日本よりもどんどん少子化になっているけど、それも儒教の影響なんですね。儒教の男尊女卑の感覚は、今の自民党、特に安倍政権を支えた右派達と統一協会、勝共連合の感覚って、一緒の価値観なんですよ。全く同じなんですよ。

だから天皇の問題だってね、絶対男系だと言うわけでしょ。女性天皇なんかとんでもないってなっちゃう。勝共連もそうなんですよ。絶対に天皇は男系だと。同じなんですよ。そこで結局結ばれているんですよ。安倍政権と自民党の中の男系カルト、それと統一協会の勝共連合の価値観、男系カルト、これは儒教で一体化している。

家庭の事とか、男尊女卑の感覚は、全然日本の伝統と関係ないですよ。これは明治から始まった感覚ですからね。専業主婦にいたっては、高度経済成長の時に日本に定着してしまってるもので、その前までは本当は女の人はみんな働いてたわけでね。だから儒教カルトなんですよ。これがみんなわかってない。自民党の奴らも、みんな自分ではわかっていない。自分自身がどういうカルトにはまっているのかっていうことを。

ケント・ギルバートはね、保守派にものすごく大人気で、儒教の本を書いた時もむちゃくちゃ売れてたけど、奇妙なことにその儒教カルトは、韓国のことを批判したいから書いたんだよね。けれども、自分の国だってそうなってる。お前が属してる自称保守の世界だってそれじゃねえかよ、っていうことに、なぜだか気がつかない。だから単に韓国をバッシングするためだけに、皆その本を買ってる。

でも自分たちもそうなってるんじゃない。男系派で、保守なりって言いながら、自分たちがバッシングしている韓国・儒教カルトと同じだってことが、不思議なことにわかってないんだよね。客観性を全然持ってないんだよ。だから、そういう思想的な分析をやっておかないと、いつの間にか巻き込まれている形になっちゃうからね。だから思想することは大切なんです。もう根っから思い込んでしまってたら、大変なことになるんですよ。

国際勝共連合から世界平和連合へ生き残り続ける統一協会

泉美:確かに政治家や、今回の統一協会の山上の事件が起きたときに出てきたコメンテーターとかは、みんな政治と統一協会について、昔に反共の時代があったから、国際勝共連合というのが元々あったから、そのときの思想として、その時代は結託しやすかった。そんな話をして、反共だと言ってます。

でも、統一協会は金日成のところに会いに行って、私のお兄さんになってくださいと願い出たって書かれていて、すっかり共産主義とは仲良しになろうとしている。これを知らずに反共だって信じ込んでたってことなんですかね?統一協会自体はすっかり北朝鮮と仲良く手を握っていることも知らないで、国際勝共連合があるから仲良くしておこう。自分たちは反共なんで、この宗教団体と仲良くしているんだって思い込んでいるのですかね?

有田:統一教会、世界基督教統一神霊協会ができたのは、1954年、韓国なんですよね。元々、文鮮明は、文龍明っていうのが本名なんだけれども、1920年にいまの北朝鮮の定州で生まれて、1941年に日本に留学したんです。早稲田高等工学校に。その時、韓国から船に乗って下関に入った。それで下関が聖地になるんですよ。教祖が初めて戦前に来たと言って。

その下関に安倍事務所は今もあって、新しい人に変わったんだけど、安倍晋太郎さん、安倍晋三さん、今度選挙に出る吉田さんと、同じ事務所をずっと使ってきて、すぐ近くに教会があったもんだから、月に何回も定期的にやって来たっていうとこから、安倍派と統一教会が繋がっていくんです。

1920年生まれの文鮮明は、19歳の時に日本にやってきて、1944年、戦争が終わる1年前に朝鮮半島に戻った。その時に平壌に戻って事件を起こすんです。実業家の奥さんとの間で強制結婚罪。読んで字のごとくの事件で、5年の実刑判決をくらって平壌にある興南という刑務所に入れられるんですよ。

ところが1950年から朝鮮戦争が始まって、北朝鮮が韓国を侵略して、釜山の方まで追い込まれるんだけれども、アメリカが国連軍として参加して、平壌にまで行って刑務所が解放されて、囚人達が全部逃げちゃうわけ。そのどさくさに紛れて、文龍明という男は韓国にやって来て、1954年に統一教会を作った。

当時の韓国は朴正煕の軍事独裁政権です。北朝鮮がある、韓国がある。それを勝共統一しようという方針を韓国政府が出したんです。朴正煕軍事独裁政権の元で。そこから勝共なんですよ。共産主義に勝利をする。それを使って文鮮明が1968年1月に韓国で、4月に日本で、国際勝共連合を作った。その発起人の1人が、岸信介元総理という安倍さんのおじいちゃんだったという歴史なんです。

金日成主席と文鮮明会談したのは、1992年の初めなんです。その時は最初の勝共からだいぶ時間が経ってしまって、ポーランドやチェコスロバキアやハンガリーとか、どんどん社会主義が崩壊していって、91年の12月にはソ連が崩壊する。その時、文鮮明たちは世界はもう共産主義に勝利したと言っていた。

けれども、アジアには中国と北朝鮮がある。だからそこに入っていって、金日成主席と会談するのは自分たちの目的にかなうことだという解釈で、91年の11月の終わりに平壌に入っていった。そこで12月初めに金日成主席と会談をした。だからいろんな歴史の段階があるということなんです。小林さんのさっきの儒教カルトということについては、また後でお話したいと思います。

泉美:その頃は反共、最初はそういう形で作られたけど、段々見かけ倒しというか、ポーズとしての反共みたいな団体に変わったという感じですか?

有田:東欧社会主義がどんどん崩壊して行く中で、文鮮明は勝共とは言わなくなったんですよ。頭翼思想。頭翼っていうのは頭と翼。頭翼思想ということを一時言ったんですよ。それは何かというと、左右の全体主義を統合するのが、統一教会の目的である。一時的に思想を都合よく変えたの。それは、今度はまた、勝共勝共と言って、今日も全国でビラ配ってますよ。共産主義は間違ってるって言って。

国際勝共連合というのは70年代の先祖がえりで、さっき言ったように暴力的に攻撃してきたんだけども、途中で、勝共勝共って言うのはイメージ悪いというので、世界平和連合と言い出した。世界平和連合の会長と、今の国際勝共連合の会長は梶栗正義という同じ人がついている。梶栗玄太郎さんというもう亡くなった統一教会の会長であり、国際勝共連合の理事長をやってた人の息子さんが、今、国際勝共連合と世界平和連合の会長をやっている。組織は一緒なんです。だから、統一教会は、とにかくもういろんな組織を作って近づいてくる。

栄養ドリンク、英会話塾…身近に潜む統一協会

有田:こんな話をしていても「いや私の近くにはいないわよ」って言う人もいるかもしれないけど、これ知ってる?「ウコンの力」。

小林:知ってるよ。

有田:知ってるよね。これはですね、ハウス食品が2004年から今に至るまで売っていて、どこに行ったって売ってますよ。コンビニ行ったって、スーパー行ったって。この「ウコンの力」はハウスが今も販売しているんだけれども、2004年から作っているんですよ。それで、2004年から2020年まで委託製造していたのは、統一教会系の会社なんですよ。コスモフーズという。コスモフーズは埼玉県の神川町にある。これだけじゃないですよ。もう一つ持ってきた。キリン。飲んだことあるでしょ? キリン「iMUSE(イミューズ)朝の免疫ケア」。

小林:買いたくなるね。

有田:美味しいですよ。これを買ったら裏を見てください。小さく書いてあります。コスモフーズ。住所も埼玉県神川町。埼玉県神川町は、神の川と書くでしょ。神様の川。昔は神川村で、今は神川町になってるんだけども。「神の川」だから、統一教会の聖地なんですよ。文鮮明教祖がそこに3回行ってるの。

神の川だから統一教会の聖地になっていて、1978年には1610組の合同結婚式の婚約式もやってるんですよ。その時、神川村に1610人の男性信者、1610人の女性信者が右と左に分かれて、その間を文鮮明教祖が歩いて「あなたとあなた、あなたとあなた」と文鮮明が指示した人と結婚しなければいけないということをしたんです。それを含めて、神川というのは今も統一教会の聖地なんです。そこでコスモフーズを作った。

これだけじゃありません。いろんなものを作ってますよ。コンビニに行ったらいっぱいある。そういう組織なんですよ。しかもコスモフーズの年商は54億円もある。ところが純利益は1900万円しかない。変でしょ?からくりがあるんですよ。お金の流れの。こういう会社だけではなく、今、一番ハマチを輸出している会社は、統一教会系の会社です。練馬では塾もやってますよ。あるいは国会議員の秘書が行ってる英会話教室もあります。

でも、英会話が悪いとか、こういうものを作るのが悪いんではないんです。そういう塾とか、最近なら、街を綺麗にしましょうという活動も、統一教会はずっとやってきた。昔も今も統一教会の信者は優しく親切。そういう活動で知り合った人たちは優しく親切なんです。

だけど、信仰に基づいて悪いことやってる。信仰に基づいて霊感商法をやるわけ。だから、掃除やりましょうということでボランティアで行ったおじいちゃんの家にいつの間にか上がり込んで、財産を見たりする。そこが危ないんですよ。塾をやることが悪いんじゃない。名前と住所を知られることが危ないんですよ。そんな形で私達の身近なところにいるのが統一教会なんです。これはテレビでも言わないし、新聞とかも書かない。

泉美:家庭教師とかテレビでCMやっているところも、学生の時にあの家庭教師のところは統一協会系だって聞いたことありますね。

統一協会の機関誌に成り下がった月刊『Hanada』

小林:商売をやることは正当なことだから。その商売の中に入っていって、カルトをばらまく。で、カルトに役立つような収益を立てる。政治活動をやることは悪いことじゃない。だけど、その政治の中に入り込んでいって、カルトをばらまく。で、その信用性を担保にするというやり方をしてるわけだから。これは非常に巧妙で賢いよね。

基本は金儲け部分だけとか、宗教の布教の部分だけで、一番核の所を見ていったら統一協会が現れる構造になってるからね。だから例えば、花田、『月刊Hanada』っていう雑誌を厚かましくも出してるけど。あれも露骨に統一協会の擁護の記事を書いている。

泉美:最初は世界日報にも記事を書かせてましたからね、世界日報取材班っていう。もう著者が出てきて書いていたし、脱会をさせるために牧師さんのところで保護するのを、拉致監禁の犯罪だってキャンペーンを張ってる統一協会の中の人がいますよね。わざとガリガリに痩せた姿で車椅子に乗って、その写真を撮らせた人のレポートとかをバンバン毎月載せてましたよね。

小林:そうそう。わしもだから拉致監禁したわけだよね。叔母さんをね。とにかく洗脳を解くには引き離すしかないからね。それを拉致監禁って言い始めるわけだよな。オウム真理教も全く同じだったよ。信者になった子供を親が一旦保護しようとしたら、拉致監禁って言ってたからね。同じ言い方ですよ。

その全く同じカルトの言い分を、Hanadaっていう雑誌の中に載せてるわけだよ、すごいことに。信じられんなと思うんだけど。それを堂々と載せていて、そして統一協会の擁護を全く堂々とやるわけだよね。で、今月号か先月号かでも、なんで統一協会だけが信教の自由を害されるのか?みたいな論理を展開してるわけですよ。もう無茶苦茶だな。ここまで露骨に統一協会の味方をやるのか。

でもそれは多分、統一協会の味方をする記事を書けば、統一協会の現信者たちが買うからだよね。あるいは統一協会自体が大量に買い取ってくれるからだよな。だからHanadaとかWiLLとか、ああいう雑誌も、右系の自民党の政治家のところに行けば、政治家自身がどんどん置いているもんね。あれを毎回もう配ってるのかというぐらい。自民党自体が買い取って議員に配っている状態になっているから。だからすごく効率がいい商売になるわけだ。

一方、我々はね、こうやって本とか出して売ったら、全く一般の人が、宗教とかカルトとか関係なく消費者意識だけで買うわけなんだけれども、Hanadaだとか、あっち系の雑誌は、カルト団体のためにおべっか記事を書くと、もう団体で買ってくれる。そういうことで商売を成り立たせている。

泉美:そのHanadaを出してる花田編集長って、かつてマルコポーロっていう雑誌があったときは、有田さんと小林先生のインタビュー記事なんかを載せてたんですよね。

有田:あの時の編集長は違う人だった。

泉美:あれは違う人だったんですね。統一協会を批判する側の雑誌もバンバンあったんですよね、かつては。

有田:1992年の5月に、僕は山崎浩子さんが統一教会に入っているだろうという情報を得て、それで当時デスクで、後に社長になる松井清人さん、一昨年お亡くなりになったんだけれども、その松井さんに企画を出せと言われて、山崎浩子さんの企画を出したらやらしてくれたんですよ。取材班も2人ついて、3人で山崎浩子さんが統一教会に入っていて、合同結婚式に出るらしいという情報で。花田さんもやりましょうってことになったんですよ。

『週刊文春』は、月曜の夜が原稿の締め切りで、火曜が校了。水曜日の昼くらいに見本誌が出るんです。だから月曜に原稿を入れないと、その企画は駄目になる。で、月曜日の夜になっても山崎浩子さんを捕まえることができなかったんです。本人に聞かなければ、統一教会や合同結婚式に出るなんてのは記事にできない。

夜9時を過ぎて、たまたま山崎さんがマネージャーと行こうとしていた寿司屋が閉まってたんで、別のところに行こうと戻ってきたところで、山崎さんを捕まえることができた。山崎さんはやっぱりスポーツ選手の潔さか「信者ですよと。合同結婚式に出ますよ」って認めたんですよ。それでギリギリで記事ができたんです。

だけれども、実はそれが記事になるかどうかわからない段階で、花田紀凱さんは、もう電車の中吊り広告を刷ってたんです。「山崎浩子、統一教会の合同結婚式に出席」って刷っちゃているんですよ。まだ捕まえられてないのに。それだけ花田さんも前のめりになっていた。

他の編集長のときも含め、僕は週刊文春に100本以上、統一教会の原稿を書かせてもらえましたよ。山崎浩子さんが脱会のために姿を消したときも、僕が編集部に行くと花田さんがいてね。普通だったら「有田さん大丈夫?」とか「どうなる?」って聞くでしょ。気になるから。だって、それでキャンペーンをはってたんだから。でも、一切聞かなかった。任してくれてたんで、その時は非常にすごい編集長だと思いました。

ところが、僕ら取材班も知らないうちに、松井清人デスクと花田さんは、当時、統一教会の本部に行ってたんだよね。何しに行ったかっていうと、桜田淳子さんのインタビューさせてくれって行ってたんですよ。僕らは統一教会批判キャンペーンをやってるわけでしょ。

一方で、そりゃ桜田淳子さんのインタビューが取れればびっくりですよ。だからそういう編集者なんですよ。でも、それはありうると思うんですよ。だけど、今のHanadaを見ていると、もう統一教会の機関誌じゃないですか。何であれだけ統一教会を批判してた人が、機関誌みたいなのを作ってんのっていう。もう毎号ですもんね。

Vol.3 【有田芳生×小林よしのり Vol.3】三浦瑠麗・夫の弁護を担当、合同結婚式にも出た統一教会弁護士が「渋谷で4億円豪邸」の異常 につづく


有田芳生×小林よしのり 特別対談アーカイヴ

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