韓国でおこなわれ、多くの日本人も参加した「合同結婚式」も話題のカルト教団・統一協会。安倍晋三元首相の殺害事件を機に明らかになった、日本の政治へ深く関与している実態と大きな影響力は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。去る3月に刊行された『統一協会の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』(扶桑社新書)の出版を記念し、戦う漫画家・小林よしのり氏と有田芳生氏、そして作家の泉美木蘭(いずみ・もくれん)さんをゲストに迎えたスペシャルライブ「オドレら正気か?『統一協会の闇special』」の模様を、前回のVol.2に続いてテキストにて特別に公開いたします。
※本稿での世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の表記は、各氏の意向に基づき、小林氏・泉美氏の発言部分は「統一協会」、有田氏の発言部分は「統一教会」としています
有田芳生×小林よしのり 特別対談アーカイヴ
● 有田芳生×小林よしのり Vol.1
● 有田芳生×小林よしのり Vol.2
● 有田芳生×小林よしのり Vol.3
有田芳生×小林よしのり特別対談(3) 爆笑問題・太田光は統一教会の真実を何もわかっていない
有田:あと一言、知っていただきたいんだけど、太田光さんもサンデージャポンで統一教会に対して拉致監禁があるって言ったから、僕は怒りに怒って書いてたら、サンデージャポンに呼ばれて、太田さんに拉致監禁という言い方は止めてくださいって言いました。それには理由があるんですよ。
統一教会が初めて社会問題になって報道されたのは、1967年の7月7日の朝日新聞の夕刊です。親泣かせの原理運動という記事だったんですよ。それは日本に統一教会が入ってきて、息子娘たちは働いてる、学校で勉強してるだろうと思っていたら、どうも学校に行ってないようだ。仕事も辞めちゃったようだ。親がびっくりして子供たちに会うと、統一教会に入っていた。親がなぜ?と聞くと、サタンだって、親につっかかってきて、もう表情が変わってきた。これが日本で初めて社会問題になった統一教会なんですよね。
だから親たちはそれを何とかしたいっていうことで、小林さんのおばさんも含めてなんだけれども、もう辞めてくれっていう話をするわけですよ。始めは全国各地でみんなが家に連れてきて話をしてたの。ところが統一教会が組織としてそれを割り出して、あの子がいなくなった、あの信者がいなくなったと言って、実家じゃないかということで調べ上げて、家まで集団で押しかけてきて、外でワーワーワーワーやったんですよ。全国各地で。
だからこういう環境では静かに話ができないから別の場所を借りたり、ホテルを借りたりして、息子娘との話し合いをやってきた。だから親がやっていることは拉致監禁じゃないんですよ。そういう環境にしてしまったのは統一教会なんですよ。暴力的にやってくる。
さっき言った12年半、拉致監禁されたっていう後藤徹さんという人も、写真だけを見たらもうガリガリですよ。異常だ。これは拉致監禁。とんでもないってことになるじゃない。だけど、後藤さんを説得してたのは、お母さんと妹さんかな。ちっちゃい人ですよ。で、後藤さんはこんなに背の高い人ですよ。外に出ようと思ったら、いくらでも出られるんですよ。
なんであんなに痩せ衰えた姿になったかというと、自分で断食をやったんです。統一教会の人たちは、もう自分たちが窮地に陥ったり、何か志を遂げるために断食をやるんです。だから何日間も断食をするなんてのはお母さんたちもわからないわけ。
で、彼は徹底して断食をやった。で、どんどん痩せていった。だけどお母さんたちは食事を与えている。与えたって食べない。そしてもうひどい姿になったとき、お母さんたちがもう出て行きなさいって言って出ていって、痩せてる姿を写真に撮って拉致監禁だって言ってるんですよ。とんでもない話なんです。それが拉致監禁の姿だと太田光さんがテレビで言うもんだから、冗談じゃないということで、乗り込んでいって批判をしたんです。
小林:なるほど。裏を取ってみたら、もうとんでもないことが出てくる。こういう事実をあまり考えないで、とにかく信教の自由はあるって言われている。憲法上もね。何を信じたっていいんだ、人はと。戦前は、神道を教えなきゃいけないとか、どんな宗教でも信じていいという感覚がなかったから、戦前を反省することから、信教はもう何を信じてもいいんだという考えになったという部分もある。
けれども、信教の自由は非常に難しい観念ですよね。何を信じてもいいというのは。だから太田光なんかは、信教の自由があるから人はどんなことを信じてもいいんだ。あれを信じちゃいけないとか、脳の中のことを洗脳するみたいに制限したら駄目なんだという感覚で言うわけでしょ。