工員が大量離職の衝撃。絶好調なハズの中国自動車メーカーBYD「本当の実売数」

 

23年1~3月の第1四半期で販売台数が50万台を超えるなど、今勢いに乗っている中国自動車メーカー「BYD」。しかし今、同社の「大量離職」「販売実績への疑問」が報じられています。「BYD」の今後は果たして? 中国の自動車業界情報を届けているメルマガ『CHINA CASE』で解説しています。

絶好調のはずが…BYD工員大量離職、在庫増で残業無し給料低下

絶好調のはずのBYDの長沙工場で大量の離職者が発生した、と報じられた。BYDはこれを否定、通常の人員配置の一環に過ぎない、とした。

一方で今回、本件を機にBYD工場の工員のベース給料の実態が明らかになり、BYD工員は相当の残業をこなさなければ、長沙市平均賃金に達しない可能性が指摘された。

また、BYDの販売実績に疑問点があり、大量の在庫を抱えている、ともされている。

一体何が起きているのか。

中国の賃金相場

BYDは2023年1~3月の第1四半期、販売台数が50万台を超え、独VWを上回り、中国において40年近く振りの中国勢首位を獲得していた。

一方で、2023年5月8日、長沙工場で大量の離職者が発生、それに伴い工場側は「今月の退職者は予定限度に達した」と発表した。

2022年における長沙市の平均賃金は月額7,131元(約14万円)、これは中国主要都市のランキングとしては21位に位置する。

中国の製造業平均月収はより低く、5,850元(約11万円)で、その中央値は6,075元(約12万円)。

しかしBYD工場の行員一人当たり平均ベース賃金は1,950元(約4万円弱)であり、いずれの指標を満たそうとすれば、相当な残業をこなさなければならなくなるという。

一方で、BYDは現在、大量の在庫を抱えているのではないか、と指摘される。

そのため、残業したいのに行員の残業もなくなり、それが要因となって十分な給料を得られなくなったため、大量の離職者が出たのではないか、と推測された。

2種類の販売台数

BYD含めメーカー側発表の販売台数は、総じて工場から販売店に卸した台数がカウントされる傾向がある。いわば出荷台数に近い。

一方で、中国では実売に近い販売台数も発表されている。BYDの公式発表と、実売データを比較すると、23年第1四半期、BYDの公式発表は55万台を超えたが、実売データは44万台にすぎない。

つまり単純に11万台もの在庫を抱えていることになる。

データで比較できる広汽ホンダ、東風ホンダ、東風日産も同じように算出してみると、在庫台数はいずれも1万台前後であり、東風ホンダに至っては同期間中マイナスになっている。

BYDは公式発表の8割にも満たない実売に止まっている一方、東風ホンダは100%以上の実売を実現、広汽ホンダや東風日産でも9割以上を達成している。

今回の工員大量離職はBYDの今後にとって、どのような意味を持ってくるのか、引き続き注視していかなければならない。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/CrZSQHpBJ4R9IDo_mnmjoA

この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ

初月無料で読む

image by: ginger_polina_bublik/Shutterstock.com

CHINA CASEこの著者の記事一覧

急速に進む中国のCASE(Connected,Autonomous,Shared&Service,Electric)やMaaS、自動車産業についての最新情報「CHINA CASE」が有料メルマガに! 進撃の中国イノベーション chinacase.xyz 日本は、「XYZ(後がない)」? 1日1本のメールで中国自動車業界キャッチアップ!

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 CHINA CASE 』

【著者】 CHINA CASE 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 日刊 発行予定

print
いま読まれてます

  • 工員が大量離職の衝撃。絶好調なハズの中国自動車メーカーBYD「本当の実売数」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け