嘘とニセ情報で全世界を撹乱。欧米諸国を自滅に追い込む「人工知能」の破壊力

 

米国では、AIが乱造する言説が民主党寄りだ。AIは、トランプなど共和党を悪者に描く歪曲をやり続けている。AIの母体である大手ネット企業はほとんど民主党寄りなので、その傘下のAIが民主党寄りなのは当然だ。

共和党支持者はネットのAIに激怒し、2024年の次期大統領選でトランプを再選させて権力に返り咲かせ、民主党側に偏向するネットやマスコミのあり方を変える・逆方向にねじ曲げるしかないと思っている。

How AI Can Track, Manipulate Voters
In AI We Trust

この政治パワーが、予測される民主党側による選挙不正を乗り越えてトランプを再選させる可能性が増している。こうした米政界の対立激化は、南北戦争の再来的な米国の内部分裂と自滅を加速する。米国は覇権運営どころでなくなっていく。トランプは覇権放棄の隠れ多極主義だ。

AIが政治的なのは不思議でない。スターウォーズのR2D2やC3POも、極悪な帝国(ロシア)と戦う正義の共和国(米国)のプロパガンダにあらかじめ洗脳されている。

あの物語の設定自体が意図的な皮肉なのだろう。ロシアを悪の帝国と呼び、軍事費の無限の無駄遣い策をスターウォーズ計画と呼んだレーガンもお茶目だ。彼自身が映画界の出身だ。

トランプの返り咲き

このようにネットのAIは、それに関するマスコミ権威筋の称賛や評論を含め、大リセット系のインチキな歪曲の仕掛けだ。だから、大リセット系の歪曲群をインチキだと指摘することで人気を集め、インチキと戦うことを生き甲斐にしているイーロン・マスクが動き出し、AIへの警告を発している。

しかし誰が警告を発しようが、ネットAIなどによる歪曲活動はなくならず、むしろ拡大している。米国側が自滅・覇権衰退の途にあることは「偽ニュース」とされて隠蔽される。

AIを「活用」している企業が株高になり、金融バブル膨張が維持される。ESGとか温暖化対策とか、企業が株高になる要素の多くは大リセット系のインチキ話だ。株価自体が経済実態を反映しないインチキ・ゾンビな数字になっている。

Elon Musk Warns Of Grave Danger That AI Could Pose To Humanity

その裏で中露など非米側が、米覇権体制の外側に多極型の新たな国際体制を構築していく。何も気づかせてもらえない米国側がいずれ最終的に覇権崩壊すると、非米側が作った多極型の体制が世界の中心になっていく。AIによる歪曲話の濫造は、こうした流れを促進するために存在している。

The Silent Strings Of ChatGPT

(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2023年6月19日号より一部抜粋・敬称略)

image by: lev radin / Shutterstock.com

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