「食べ物まずい」と口にする人が現地の住民から嫌われる当然の理由

 

センサーを敏感にしすぎない

それから「けなし旅」の人の中には、おそらくマウント取ってるだけの人もいるとは思うんです。「自分はこれくらいの料理じゃ驚かないよ(=俺は食通だよ)」と見栄はりたいだけみたいな。

この人たちは内心と言ってることが違うかもね……。

しかしもし、「けなし旅」の人が本気で「食べ物まずいし、空気は臭い」とそう思ってるとしたら、けっこう海外では生きづらいのではと思うんですね。

つまり、食の好みがうるさい、匂いに敏感――などなど「センサーの許容範囲を高めてしまう」と海外で生きていくのは、難しくなると思う。日本食が手に入らない場所も多いからです。

さらに、「食べ物不味い」を口に出すと、現地の人からは嫌われることもあるので、余計、生きにくいと思います。実際に「インド料理まずい」が炎上したのは記憶に新しいですし、マレーシアでも先日「マレーシア料理まずい」と書いた日本人インフルエンサーが炎上しました。

最終的に住みやすさを決めるのは「人間関係」だからです。

多分日本国内でも、決まった場所にしか住めないのではないのかな……。

つまり、「世界のどこでも生きていける人」は「なんにしても、こだわりがない人」「まいっか教の人」ではないかと思うのですよね。

マレーシアは日本人の移住が昔から多く、人気が高い国です。なにしろ、アジア人が多いし米文化だし、多様性を認める文化があるので、世界の誰にとっても割と生きやすいんです。つまり他の国はもう少しハードル高めなはず。

ですから、アフリカや南米などを含む、世界で生きていけるようにしたいのなら、なんでもオッケー、な人にすることです。

「異文化対応能力」は鍛えられる

もう一つが、教育の世界で鍛えようとしている「異文化対応能力」です。これは言い換えたら「(狭い範囲での)常識を振り回さない人」です。

未知のものや、異文化に対応したときに柔軟に対応する力です。
自分とは真逆の思考をする人が現れても、「なるほど、そうくるか。でもまいっか」となることです。そこで「正義はこっちだから、お前は間違っている」といちいちやらないことです。

例えば、英国にホームステイしたら、お皿に洗剤をつけて、流さないで拭くのでびっくりしました。

友人には、お弁当が毎回「ポテトチップスとリンゴ1個」だった人がいます。

この家庭に対し、「洗い物とは」「お弁当とはどうあるべきか」を説教したくなる人は、きっとストレスが溜まって大変です。

だから、もしお子さんを「異文化に対応できる人」にしたいのなら、できるだけインクルーシブな教育をしている学校を探すといいと思います。

外国人、障害がある人などを積極的に受け入れて、その人たちから学ぶ姿勢をもつ学校――を今だったら選ぶのがいいかなと。

ある本を読んでいたら、「日本で期間工をやったことが、米国の大学に有利に働く」と聞いて、そりゃそうだよね、と思いました。大学の側も多様性が欲しいのでしょうね。

※ 本記事は有料メルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』2023年7月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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【著者】 のもときょうこ 【月額】 ¥1,320/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

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