このミスマッチがどんな状況を社会に作り出すのか、そして、そんな状況に備えて、今、何をすべきなのかを真剣に考えるべき時代が来ているように思えます。特に問題視すべきなのは、
- 大学受験さえ突破すれば良いという日本特有の学校教育
- 移民や外国人による安価な労働力がなければ成り立たない産業
- 高齢化により担い手を失いつつある農林水産業
- 都市部への人口集中
- 正社員と非正規社員という二重構造
- 労働市場に流動性をなくしている解雇規制
- 「やり直し」がしにくい社会
- IT業界にまで浸透している多重下請け構造
などで、これらの問題に思い切ったメスを入れない限り、社会に大きな歪みを生み出すことになると思います。
さらに長い目で見れば、肉体労働市場のギャップを、ロボットや自動運転車が埋めるようになり、本格的な「大失業時代」が到来することは確実で、そこに向けた、社会保障システムと、社会の安定化政策は必須だと思います。
2年ほど前に全米で起こった暴動、そして、今、フランスで起こっている暴動は、きっかけは「警察官による差別」ですが、その根底には、社会から必要とされず、社会の底辺に追いやられた人々の不満と不安があります。そんな「負のエネルギー」が溜まった社会では、ちょっとしたきっかけが「起爆剤」となり、彼らを暴徒へと変えてしまうのです。
(『週刊 Life is beautiful』2023年7月18日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)
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