世界的エンジニアが予言。「人手不足」と「仕事不足」の先の「大失業時代」到来

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例えばトラック・バスの運転手や建設現場の作業員など、日本では現業職の「人手不足」が大問題で、更に深刻化するのが確実です。一方で、急速に進化するAIが大学を出て働く人の仕事を確実に奪い「仕事不足」になると考えられています。やがて来るこの2つのミスマッチの問題を真剣に考えないと大きな社会不安が起こると警告するのは、メルマガ『週刊 Life is beautiful』著者で、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんです。中島さんは日本社会の問題点を具体的に8つ上げ、社会に歪みを生まないためにも、何らかの手を打つ必要があると訴えています。

人不足と人工知能

ChatGPTの進化を見ていると、さまざまな職が人工知能によって置き換えられたり不要になったりすることは確実だと思います。簡単な事務仕事はもちろんのこと、データ解析のような比較的複雑な仕事まで人工知能に任せられるようになってくると、その労働市場に対する影響は、計り知れない程大きなものになると予想できます。

それとは別に、土木建築、介護、飲食、清掃、農林水産、公共交通、ロジスティックス(倉庫、配達、輸送)などの「肉体労働」を伴う業界では、人手不足が目立っています。日本と米国では若干事情が違いますが、移民や外国人(日本では技能実習生)に頼らなければならない状況は同じです。

国が豊かになると、高学歴な人が増え、賃金の安い肉体労働をしたがらなくなるのは、どこの先進国でも同じです。日本の地方では、成績が優秀な学生は都会に出て、知識労働(ホワイトカラー)の職に就くのが当たり前になっています。結果として、肉体労働の労働市場においては、需要が供給を上回る状況になっています。

日本では、高度成長期以降に第三次産業が急速に伸び、そこが知識労働者の受け皿となりました。それを受けて、大学進学率も、1971年の19.4%から上昇を続け、今では60%近くになっています。

しかし、人工知能技術の急激な進歩により、知識労働市場に大きな変化が起ころうとしています。人工知能の活用により、知識労働者一人あたりの生産性が大幅に急増し、結果として、知識労働の市場においては、需要が供給を下回る状況になるのです。

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つまり、

肉体労働市場: 需要>供給
知識労働市場: 需要<供給

という二つのミスマッチが起こることになります。

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