私たちが受けるいじめ相談事案でも、「国立」の学校におけるいじめに対応する意欲は、公立の学校や私立の学校に比べると著しく低いように感じられます。いじめを解決しようとする意志が伝わってこないのです。できるだけ穏便にして「いじめはなかった」ことにしたいという真逆の意志さえ感じられるのです。もしくは、時間を稼いでうやむやにしてしまおうという国立の学校も現実に存在します。
本来、文科省の直轄とも言える国立の附属校です。それだけの責任があるはずです。「文科省にも相談しましたけど、何もなりませんでした」という相談もありましたので、文科省は、毎年毎年、何件もの被害者、被害者の家族からの相談を受けているはずです。故に、この通知を出した背景には大きな方針転換があったのではと勘繰りたくなる程です。もしくは、何件かの不祥事により文科省への批判があったため、外圧によってやむを得ず通知したのではないかとも思えます。いずれにしろ「遅すぎる」のです。
しかもチェックリストは「いじめ防止対策推進法等に基づくいじめ重大事態調査の基本的な対応チェックリスト」、つまり「重大事態」が前提になっているのです。いじめの対応の基本は「早期発見・早期解決」でなくてはなりません。日々に起きる「いじめ」の対策こそ、一番重要です。したがって、「日常のいじめ」への対処も「もう知ってるでしょう。改めて言わなくてもわかってるよね」とか言わずに何度でも周知すべきですし、その意味では「いじめ重大事態」のチェックリストより重要です。日常のいじめを解決できない学校が「重大事態のいじめ」を解決できるはずはありません。
文科省には、現在まで今までに過去どれだけの子供たち、保護者が苦しんで来られたのかを分かっていただきたいものです。今後、苦しむ子を増やしてほしくはありません。自分の心の痛みとして捉えていただきたいものです。
さあ、夏休みです。お出かけの予定もあると思います。ぜひ、お子さんたちとの時間を大切にお過ごしください。また、何かご心配のことがありましたら、ご遠慮なくご相談いただければ幸いです。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
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