3年間のコロナ禍で見えた「障がい者の学び」の取り組みを共有する意義

 

私たちが普通にしていたコミュニケーションの日常性が失われた時、イノベーティブな発想で私たちはつながることを追究し、オンラインでの会議や情報伝達だけではなく、一緒に奏でたり、遊んだり、多様なつながりが可能なことを共有することになった。オンラインでの双方向性は公共性を帯びて私たちに新しいインクルーシブな場を与えてくれたのである。

重症心身障がい者だけではない。生身の人間と接する社会に出られない人にも、家から出られない人、「引きこもり」の方にも、オンラインという入口は有効だった。

このオンラインの発見は「健常者の常識で作られた社会」をより弾力的に誰でも心地よく過ごせる社会に向けた道具として機能していく期待感が膨らんだ一方で、突如のように立ち現れた生成AIの存在は、私たちがコントロールする、という自主性が失われ、私たちの「人格」を脅かし、それら感情のないコンピュータに取って代わられる不安にも襲われる時代ともなった。

障がいのある人もない人も一緒に社会で学び、共有したものを驚いたり、悲しんだり、苦しんだり、笑ったりしながら、それぞれの人生の尊厳を大切にして、自分を大切にすることも覚える─。

その当たり前の所作は人間同士のやりとりの中で生まれるものだから、やはりオンラインでも人間性に注目して交流し、その揺れ動く感情とともに、生成AIとの共存に悩みながらも、コロナ後の学びを作っていきたいと思う。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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