3年間のコロナ禍で見えた「障がい者の学び」の取り組みを共有する意義

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3年にもわたったコロナ禍は、支援を必要とする人たちの教育の現場に「オンライン化」を促しました。それによって、以前は置き去りにされることもあった重度の障がいをもつ人や、人と接するのを忌避する人も「学び」の機会を得られるようになりました。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、特別支援学校卒業後の学びの場「みんなの大学校」を運営する著者の引地達也さんが、オンライン化がもたらした多くの気づきを共有する意義を説きます。そして、にわかに登場してきた生成AIとの共存を課題としてあげています。

ポストコロナでの障がい者の学びの共有に向けて

9月9、10日に名古屋市で「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会(以下、全専研)の実践研修講座2023」が行われる。今年のテーマは「新型コロナの3年間で私たちが得たもの」。

特別支援学校の高等部の卒業後に学びを延長もしくは継続する公的な仕組みがない中で、これまで教育年限の延長や福祉サービスを利用した学びの活用等の取組は今、支援が必要な人に向けたインクルーシブな学びの場として大きな社会の中の一部として機能する機運は少しずつ高まってきている。みんなの大学校もその実践例として日々活動しているが、新型コロナ禍の危機感から生まれた形は、ひとつの形として社会に浸透していくことを目指している。

研修は「新型コロナの影響を受けた3年弱、それぞれの学びの場ではどのような取組みや青年たちの育ちの姿があったのでしょうか。今後の実践につながる・つなげる研修内容を企画しました」との趣旨。登壇する立場として「つながる」ことを考えて伝えたい。

この講座の対象は「青年期」という移行期の学びの場に従事している人、この場に関わる、関わろうとしている人」であり、その「実践力を高めるため」が目的で毎年実施している。この場とは、特別支援学校専攻科、福祉型専攻科・大学等が中心であるが、多様な学びが叫ばれる中ではどんな人も場づくりに関われると考えている。

今回は久々に対面での開催となる。そして私に与えられたテーマは「オンラインによる学びのつながりや可能性」。その後、全専研会長、國本真吾・鳥取短期大学教授が「ライフワイドの視点、『自分みがき』による自分づくりの意味」について講演する予定だ。

この学びの場は障害者権利条約の批准以降、文部科学省から「特別支援教育の卒業生の継続した学び」の必要性がメッセージとして出されたことから、社会的な認知は広まっているが、担い手が定まっていないのが現状だ。

その中にあってコロナ禍は交わることで教育的な効果を得るものが、その行動が制限されてしまった。みんなの大学校はその制限を「活かして」オンラインでの学びの展開に切り替え、結果的にこれまで学びの可能性が閉ざされていた重症心身障がい者の方とのつながりが強く浮かび上がってきたのである。それは新しいコミュニケーションの世界が広がる発見だった。

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