さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
国連の国際移住機関の予測では、今30年間だけでも15億人の環境難民が発生し、2050年以降は人数が急激に増えると考えられる。世界では温暖化がますます進行し、世界人口は2060年半ばにピークに達するまで増え続けるからだ
今日、海抜が低い島や沿岸地域の多くには地球の全人口の半分ちかくが集中しているが、海面が上昇すれば居住不可能になってしまう
気温が2℃上昇した地球は、不作に見舞われる機会が倍増し、漁獲高は半減するだろう
猛暑は、発着予定の飛行機を地上に待機させてしまう。気温が43℃を超えると、飛行機は離陸が難しくなるからだ
これから世界の温暖化が進めば、外で肉体労働に従事できない日が増えるので、生産性が低下して食料安全保障が脅かされる
ヒートストレスの条件下では食用作物から栄養分が失われる。たんぱく質や亜鉛や鉄の含有量は、今日のほぼ5分の1まで減少するだろう
複数の経済学者の計算によれば、もしも国境が取り払われたら、世界のGDPは100~150パーセントも跳ね上がり、年間に少なくとも90兆ドルが追加される
未熟練労働者の移民が実際には仕事を増やしてくれるもうひとつの理由は、機械化や自動化の採用が遅れることだ。(中略)逆に移民が国外に追放されたり入国を禁じられたりすると、移民に大きく依存してきた企業は機械化に踏み切り、機械化できる生産活動に専念する。たとえばメキシコの農園労働者が1964年にカリフォルニアから追い出されると、トマトの収穫は2年間で完全な手作業から完全な機械作業へと移行した。そしてこの時期にカリフォルニアは、レタス、アスパラガス、イチゴなど、機械化が不可能な作物の生産を中止した
安全で生産性の高い都市への移住を妨げる要因のひとつが、住宅の供給不足や高すぎる費用だ。その背景には、拡大する都市にはふさわしくない都市計画法や区画法の存在がある。区画規制が取り除かれた場所は居住密度が高くなり、住宅や店舗、さらには公共スペースなど用途が多彩になるため、従来の都市の魅力がさらにアップして、進化が促される。社会が一体性を持つためには、人口密度が高いほうが有利なことが、いまでは数多くの研究から明らかになっている
途中、人類史のおさらいでちょっと中だるみしますが、全体的には刺激的な内容です。
著者の主張はちょっと理想主義的過ぎるかもしれませんが、現在、われわれが直面している問題や都市、農村の課題、ビジネスチャンスなどが、これ一冊で学べるのは、美味しいと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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