武力より「人情」。中国が「台湾統一」に向けた“現実的な動き”とは?

 

第一段階として福建省全域に「海峡両岸融合発展モデル地区」を建設するという。そして福建省を入り口に台湾の人々や企業が中国全土に広がってゆく、その入り口としての役割が福建省に求められたということだ。福建省全省には国家レベルの海峡両岸産業協力拠点が18カ所設けられた。

「意見」作成にかかわった国家発展改革委員会の叢亮副主任は、中国中央電視台(CCTV)の番組『新聞聯播』(9月14日)のインタビューに答え、「われわれは『両岸一家』という理念を実行し、通じ合い、台湾同胞に利益を与え、人情で融合を促し、各方面の資源を活用し、台湾同胞の幸せが増すような制度と政策を整え、福建省全域に両岸融合発展のモデル地区を建設してゆくのです」と語っている。

繰り返し強調すれば、「武力」ではなく「人情」に訴えてゆく作戦なのだ。行政的には厦門市が金門島を、福州市が馬祖島をといったように融合に向けたペアも組まれた。

福建省党委員会の羅東川副書記は、「適度に交通の往来のインフラを建設し立体的、総合的な交通のルートを作り、より多くの台湾同胞が来られるようなインフラも整えた。もうすでに福建と馬祖の間にはガスや電気も通っている。たくさんの人や企業が福建を訪れ、安心して成長してほしい」とCCTVの番組『中国新聞』(9月13日)で語っている。

閔台(福建省と台湾)間には制度的な壁も少なからず存在しているが、それを取り払うため、学校の入学手続きではワンストップ化を実現し、幼稚園や老人ホームへ入るための支援も行うという。つまり大陸で働くことを望む台湾の人々のために徹底的に私生活上の福祉で便宜を図ってゆく政策なのだ──

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年9月17日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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