子どもが自立し親の責任から解放された専業主婦が、夢見ていた仕事を始めたい。夫がいる人なら相手の理解は不可欠ですし、開業資金の協力を仰ぐのであれば尚更です。今回のメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』には、以前から憧れていた占い師の仕事を始めるチャンスが巡ってきた主婦から相談が届きました。公認心理師の永藤さんは、長年の夢なのであれば本来は、自分自身でお金の面も準備しておくものとピシャリ。それでも、占いを学ぶ相談者をバカにしているという夫にお願いするなら、どんな説得材料が必要かをアドバイスしています。
ちょっと御相談がありまして:夢を追いかけたい
皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。
Question
アラフィフの専業主婦です。夫はあと5年で定年、子供は今年社会人になり、家を出ました。昔からずっと、占い師になりたいと思って、いろいろなスクールに長年通ったりもしていました。夫は占いも、占いを学ぶ私のこともずっとバカにしています。
先日、昔から知っている先生のおひとりがお年を召して引退されることになり、隣の市の駅ビルの一角の占いコーナーに欠員ができるため、やってみないかと打診を受けました。私は千載一遇のチャンスだと思い、ぜひやりたいと思っています。
ただ、スタート時にかかる費用、例えば出店料や衣装代や道具を新しくするための費用が自分の貯金では全然足りないため、夫に出してもらわなくてはなりません。占いコーナーに空きが出るなんてめったにないので、私はどうしてもやりたいのです。どうしたら夫を説得できるでしょうか?
【永藤より愛をこめて】
そうですか。壁に当たっていますね。基本的に私は、「人生一度きりなんだから、やりたいことをやりたいようにやればいい」と思っている人間です。自分の人生なんだから、自分の夢を追いかける権利は自分だけがもっている、という持論があります。
ただし、です。それは自分の行動に責任が持てる範囲であり、誰かに負担や迷惑をかけたり、誰かの犠牲の上でないとなりたたない、ということがないようにするのが鉄則です。あなたにとっての占いは、お子さんにとっての教育とは違う、ということはお分かりですね。
いつか占い師になりたい、ということが、ぼんやりしたあこがれや夢レベルではなく、現実に手元に引き寄せたいのであれば、勉強するのはもちろんですが、出店のためのお金のことを考えておく、準備しておく、ということも同じように大切なのではないでしょうか。そして職業として占い師になるのであれば、どうやって収益を上げるのか、その見通しを立てるということも必要です。
お金のことって本当に大事です。パートナーさんは、あなたのお財布ではないし、打ち出の小づちでもありません。そもそもあまりご賛成ではない様子。それでもどうしてもお金を出してほしいのであれば、「私に投資をしてくれれば、きちんとこんなに大きなリターンをいたします」と、経営プランを提出してお願いをすることが必要になります。
「そんなの無理!絶対出してくれない!」そうだとしたら、まずご自身が初期投資分を用意してからのスタートになります。そうすれば、何の気兼ねもなく、堂々と、晴れ晴れと、占い師としてのスタートが切れます。
もちろんポジションに空席が出るのは稀かもしれませんが、今無理やりスタートさせたとしても、かなり近い将来に息切れしてしまうことが見えてきそうです。少し冷静になって、長い目でご自身の、そして夫婦の将来の展望を見てみてはいかがでしょうか?他人様の幸せを願う占い師さんであれば、きっとそれができるはずですよね。
この記事の著者・永藤かおるさんのメルマガ
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