4.「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」にまで言及された解散事由
解散命令の事由として、宗教法人法1項1号には「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」とあり、こちらは甚大な被害状況から当然と思っていました。
しかし驚いたのは、文化庁から同法の第81条1項2号前段の「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」の解散事由にまで言及したことです。
文化庁からの説明でも、決して教義に関して踏み込むものではないとして「客観的に現象面をとらえた場合に、未証勧誘(旧統一教会と告げないままに教化、勧誘を行うこと)や因縁トーク(先祖の因縁による不幸になる)は、客観的に現象面をとらえた場合に、統一教会の財産的利益を優先している」としています。
教団内では「人情より天情を優先させる」ようにいわれますが、その点についても「信者に対して信者の良心等よりも、宗教法人の利益を図ることを優先し、その命令の善悪、法的合成や道徳的観点からの判断を禁止するような指導がみられる」と指摘しています。
つまり、宗教法人格を与えるにはふさわしくない活動してきたということで、解散命令請求の判断するに至ったといえます。
5.韓国本部の反応と旧統一教会の今後
最後に、韓国本部の反応です。
報道によると、韓国本部は、信者たちの社会的信頼を守れなかったことへの「道義的責任を感じる」や日本の社会から信頼を得られるような「新しい教会をともに作る」という声明が出されているということです。
しかし「新しい教会をともに作る」ことは、やめてもらいたいと思います、
そもそもが韓国本部の献金の指示などにより、こうした事態が起きたわけです。どこか他人ごとの声明に聞こえます。
できるなら日本の本部は、韓国本部との関係断絶をして、一緒に教会を作らずに、独自の運営を行わなければ、信頼回復はできないと思います。
ただし、旧統一教会は教祖の命令、指示が、絶対の上位下達のカルト的組織ですので、韓国本部=教祖の指示を聞かないという姿勢を示すこと自体がなかなか難しいと思っています。
今後、裁判所で解散命令の決定が出るとなれば、任意団体となり、信者らは活動していくことになると思います。
しかしこれまでの傾向をみても、様々に分派はできると思います。その中には、文鮮明教祖の教えに戻るといって、以前のような未証勧誘や因縁トークなどを強烈に始める人たちも出てきてもおかしくはありません。
信仰を続ける信者たちの行き過ぎた活動を押さえるためにも、解散命令を見据えての監視の態勢も必要になってくると考えています――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2023年10月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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image by: Unification Church Hungary, CC0 1.0, via Wikimedia Commons








