重度障がい者が使用するリクライニング型の車いすは大型で、しかも人工呼吸器の充電器なども搭載しているから重量もある。みんなの大学校の学生であるそのリクライニング型車いすユーザーと社会見学をしようと出かけようとなると場所は限られる。親御さんは最初からあきらめるケースも多い。
確かに最新鋭の文化施設はバリアフリー化が進んでいるが、重要文化財を改装し文化施設にしているケースは難しい。SPS社が指定管理する施設にも、文化財を利用している施設があり、その場合への対応をサービスで乗り越えられるかも課題という。
最近、私が訪問したSPS社が管理する京都市京セラ美術館は1933年開館の歴史ある建物で、見て回るには多くの障害がある。先日訪問した東京の国立科学博物館も建物は古く、そこでバリアフリーの工夫はされているが完全ではない。その不完全を補うのがサービスであり、管理する側の想像力と行動力になってくる。
日経新聞の記事では、SPS社が鎌倉芸術センターの指定管理から撤退したことも取り上げられていた。当然ながら運営にはお金がかかる。費用対効果を考えるのは当然であるが、民間事業者の方が費用面で効率化できると考えているのであれば、それは間違いだろう。「誰一人取り残さず」文化芸術に触れるために、必要な費用はかかる。
SPS社との研究は、公共施設の使命を深く自覚し、そこには障がいへのまなざしも必須であることを普通にとらえ、そのスタンスを全国に波及させていくのも目的だ。それは地域の文化振興・芸術振興の核となる公共施設の価値を上げることにつながるはず。今回のシンポジウムでは、そんな考えを共有したい。
シンポジウムは「障がいのある人を取り巻く社会の障壁“バリア”について、企業としてどのような合理的配慮の提供ができるのか、ただの『義務化対策』に終わらない向き合い方について理解を深める」と趣旨を説明する。詳細はこちらからご覧ください。
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